第三回ワザオギ落語会@国立演芸場
年1回開かれる「ワザオギ落語会」、今年は6月9日国立演芸場で行われた。
市馬、喜多八、喬太郎という人気者が顔を揃えたということもあり、前売り完売、当方は「残り2枚」の時に駆け込み危うくセーフ。
通常の寄席に比べ若い客層で、場内に活気があった。
どういう訳か寄席だけは、昔から年寄りにマナーの悪い人間が多い。
国立だと、最前列熟睡ばあさんを時折見かける。初めから終わりまで寝っぱなし、起きるのは仲入りの時だけというだから、あれはイヤガラセに来ているのだろうか。
先日の横浜にぎわい座では近くの爺さん(こっちもジジイだが)が、噺に一々「ウンウン」「ソウソウ」「そりゃ・・・だよ」とか相づちを打つので、気になってスッカリ集中力を失ってしまった。
だから若い人が多いと、ホッとする。
この落語会では、入場の時にA4版1枚裏表のプログラムが配られるが、この中に出演者の近況などが紹介されている。
これは大変良い試みであり、是非他の会でも見習って欲しい。
小さな大入り袋も嬉しかった。
開口一番は古今亭駿菊「近江八景」
若手らしく溌剌とした口調は良いが、もう少し話の「間」を勉強して欲しい。
それとこのネタで、肝心の近江八景を読み込んだ恋文がカットされていたが、なぜだろう。あれがないと、どうも「近江八景」らしくない。
柳亭市馬「片棒」
若い頃は古典を楷書で演じていたが、今はどうだろう。草書ではないし、隷書かな。
市馬の高座は、何をやっても市馬イロの染め上げてしまう。それでいて、古典の風合いを決して崩さない。
この「片棒」、一番の聴かせ所は祭り囃子の口真似だ。市馬はそこをしっかりと演じた。
一方で「木遣り」の一説を唄い、終いは「お祭りマンボ」で得意の喉を聴かせた。
客席を一気に沸かせた一席だった。
柳家喜多八「あくび指南」
喜多八の得意ネタだが、何度聴いても可笑しい。
このネタも、完全に喜多八イロに染め上げている。
トボケタ男の役を演じさせたら、喜多八の右に出る者はいない。
仲入り後
柳家喬太郎「反対俥」
本当に上手い噺家というのは、前座噺も上手い。
良かったですねえ、パワフルな「反対俥」、観ているこちらまで力が入りました。
このサービス精神は、他の芸人の見本だ。
トリは笑福亭鶴光「西行鼓ケ滝」
鶴光は大阪の落語家でありながら、東京を主な舞台として活躍している。
普段は上方落語家に接する機会が少ないのだが、鶴光だけは末広亭の高座を何回か観る機会があった。
TV、ラジオの人気者だがそちらに行かないで、本業の落語を続けている姿勢は評価している。しかしどうも噺が面白くない。ネタの途中に入れるクスグリが古臭い。
東京と大阪では笑いが違うが、大阪の人は鶴光が面白いと感じているのだろうか。
この日の顔ぶれのトリとしては、力不足の感は否めない。
市馬、喜多八、喬太郎3人の熱演を聴いただけで、十分満足のいく会であった。
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