池袋演芸場6月下席昼の部
地下にある寄席というのはここ池袋演芸場だけで、過去の寄席にも例が無かったのではなかろうか。
もう一つ、駅から最も近い寄席であり、最も収容人員の少ない定席でもある。
それならさぞかし連日満員になるかというと、そうはならないのが経営の難しいとこだ。
楽日の30日、この顔づけで開演時に最前列はたった一人だけというのは、いかにも淋しい。
皆さん、池袋演芸場にどしどし足を運びましょう。席亭に成り代わってお願いです。
古今亭ちよりん「饅頭こわい」
久々に下手な落語を聴いた。プロのレベルじゃない。
二ツ目昇進とあるが、先が思いやられる。
入船亭扇里「ぞろぞろ」
折り目正しく端正な高座でケッコウでした。ヤッパリ若手はこうでなくっちゃ。
師匠の仕込みが良いせいなのか、入船亭扇橋一門は揃って芸に品がある。
入船亭扇治「長短」
開演時から2列目で大きなイビキをかき続けている客がいて、周囲に迷惑をかけていた。次第に音が大きくなってゆき、とうとう入船亭扇治が噺を中断し、係員を呼んで注意して貰っていた。
こうした「事故」にも拘らず、扇治の高座は乱れがなく、最後まで聴かせた力量は大したモノ。
当代の金原亭馬生の若い頃に芸風が似ている。
大空遊平・かほり「漫才」
数少ない東京の夫婦漫才。さしずめ宮川大助・花子の東京版といったところか。
大阪の花子にくらべ、かほりに華やかさが欠けるのが難点。
柳亭市馬「お化け長屋」
時間の制約があったためか忙しい高座となり、味の薄い「お化け長屋」になっていた。
このネタは前半の怪談調をじっくり聴かせないと、後半が面白くない。
柳家喜多八「鈴ケ森」
何度聴いても面白い。しかも聴く度に、細部が少しずつ違っている。
喜多八の工夫なのか、元々がいい加減なのか、その辺りも興味がひかれる。
-お仲入り-
橘家文左衛門「千早振る」
独特の「間」と、間に挟むギャグの面白さで、楽しい「千早振る」となった。
「千早太夫の実家が乞食だったなんていうのは通らないよ」とか。「“とは”は千早の本名だなんて言わないで」などの、演者自身のツッコミが楽しい。
当夜ここで独演会があったが、時間があれば聞きたかった。
三遊亭歌之介「漫談」
この人目当てに寄せに来た客がいるくらいの人気者。珍しい九州訛りの噺家だ。
初めて聴いた時は引っくり返る程笑ったが、次第に薄れてきたような気がする。未だ芸の底が浅いのだろうか。
江戸家小猫「動物物真似」
しり取りで物真似をつないでいたが、こうした渋い芸は、時間を持たせるのは大変なのだろう。
トリは代演の春風亭正朝「祇園祭」
艶笑話をマクラに、このネタの聴かせ処である祭り囃子の口真似が威勢良く、明るい高座となった。
正朝はキャリアからいって、そろそろ高座に風格が欲しいところだ。
池袋演芸場の下席は通常に比べ時間が短いが、多彩な顔ぶれで充実した高座となった。
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