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2007/08/24

「死刑廃止議員連盟」の抗議はスジ違い

8月23日に3名の死刑囚に対する死刑執行が行われましたが、この件について超党派の「死刑廃止議員連盟」(亀井静香会長)の議員が記者会見を開き、長勢法相が死刑執行命令書に署名したのは任期10カ月余りで計10人であり、議員らは内閣改造前の「駆け込み執行」に抗議しました。
この抗議の趣旨は、次のうち何だったのでしょうか。
①死刑は執行すべきでない
②10ヶ月で10名の執行が多過ぎる
③内閣改造前に執行したのが悪い
もし②の主張なら、どれだけの人数なら適正なのでしょうか。
③の主張なら、内閣改造後なら死刑執行はOKなのでしょうか。
どうも抗議の趣旨が判然としません。
①については、後述します。

死刑制度について存続論と廃止論があり、我が国の死刑制度を将来どうしていくかという議論は必要です。
国会議員や個々の国民が自らの信条に従って、死刑制度の廃止運動を行う事も当然の権利です。
しかしその事と、死刑執行の度に法務大臣に抗議することは全く違う問題です。

死刑制度は立法府の問題であって、刑法第9条(刑の種類)と刑法第11条(死刑)に定められています。
司法は、法律に基き個々の犯罪者の刑を確定します。
死刑の執行についても立法府により、刑事訴訟法第475条(死刑執行の命令)、第476条(死刑執行の時期)、第477条(死刑執行と立会)、第478条(執行始末書)、第479条(死刑執行の停止)それぞれ定められています。

執行は行政の責任です。
執行の命令は、死刑確定日から6ヶ月以内(再審請求などがあった場合は別)に法務大臣が行うことになっています。命令されてから5日以内に、刑は執行されなければならないと決められています。
もし今回の死刑執行が誤りだとするなら、刑事訴訟法のどの部分に違反しているのかを明らかにすべきです。
10人で2桁だから、内閣改造前だからケシカランとか、そうした主張は見当違いも甚だしい。

司法で定められた刑を、行政の勝手な判断で執行しないとなると、それは三権分立に反するのではないでしょうか。
例えば、懲役10年が確定したにも拘らず、収監しないまま放置していたら、どうなりますか。行政が司法の決定を無視したことになります。
死刑だろうと懲役刑だろうと罰金刑だろうと、行政は責任をもって実行しなければならない義務を負っています。
死刑だけ行政の責任放棄を迫るのは、スジ違いです。

人間誰しも好き好んで人を死刑になんかしたくない。これは裁判官だろうと法務大臣だろうと刑務官だろうと一緒です。出来れば自分の時は手を下したくないと思うのは人情です。
しかし、それでは法治国家としては成り立たない。
死刑を無くしたければ、法律を改めるか、裁判で死刑判決を出させないしか、方法がありません。

死刑が無い社会にしたいというのは、恐らく大多数の人の願いでしょう。
「死刑廃止議員連盟」の方々には、そうした観点での努力を望みたいと思います。

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