小泉前首相の三百代言「郵政民営化」
郵政民営化にあたり、当時の小泉首相は「サービスは低下させない」ことを国会で約束しました。しかし民営化を目前にした今、本当のサービス低下は起きていないのか、検証してみたいと思います。
現在、全国に郵便局が24,670局ありますが、この内郵便の集配業務を行っているのは4,705局です。
昨年6月に郵政公社は、約2割にあたる966局の集配業務を廃止し、近隣局に集約する方針が明らかにしましたが、今年3月までに全ての統合が実施されています。
統廃合の対象になったのは、多くが過疎地と呼ばれる地域です。
今年3月に集配業務が廃止されて地域の中には、少なからぬ郵便物が未配達になったり、誤配になったりしています。
この他、全国2,564台の局外ATMのうち、約3割の738台のATMが撤去される方針で、そのうち624台についてはすでに撤去が始まっています。
また全国におよそ4,400ある簡易郵便局も、民営化を前に廃止が加速化しています。
郵便事業は、過去曲がりなりにも全国一律のユニバーサルサービスが行われてきました。
しかし郵政民営化の方向に動き出すと同時に、過疎地を中心にサービスが切り捨てられつつあり、地方格差が郵便事業においても拡大しています。
以上の動きは、民営化を先取りしたものであり、今後民営化が行われれば、こうした傾向は一層強まるものと推定されます。
もう一つ、日本郵政公社は、10月の民営化で郵便貯金を引き継ぐ「ゆうちょ銀行」が発足するのに伴い、口座振り込みなどの送金・決済サービスの手数料を改定すると発表しました。
ここでいう「改定」とは、値上げです。
民間金融機関に衣替えするにあたり、手数料を銀行の料金体系に近づけるもので、下表の通り最大10倍と、全体的にかなり大幅な値上がりとなっています。
表―ゆうちょ銀行送金手数料
【金額:円】
現在
民営化以後
取扱金額
料金
取扱金額
料金 定額小為替
一律
10
一律
100 普通為替
~1万円
100
3万円未満
420
~10万円
200
3万円以上
630
~100万円
400
通常払込み
~1万円
100
3万円未満
120 (窓口)
~10万円
150
3万円以上
330
~100万円
250
通常払込み
~1万円
60
3万円未満
80 (ATM)
~10万円
110
3万円以上
290
~100万円
210
電信払込み
~1万円
210
3万円未満
525
~10万円
340
3万円以上
735
~100万円
600
通常現金払
~1万円
60
一律
400
~10万円
150
~100万円
310
電信現金払
~1万円
180
一律
630
~10万円
390
~100万円
680
小泉前総理の「郵政が民営化されてもサービスは低下させない」という公約は、やっぱりウソでした。
当ブログで以前から指摘して来た通り、民間企業になれば採算が重視され、サービス低下は免れないと警告した通りになりました。
銀行の合併や、それに伴う支店の統廃合で、町や村にあった銀行がなくなりましたが、これからは郵便局が、全国規模で統廃合されていくでしょう。
そして地域間格差は、確実に拡大の一途を辿るものと思われます。
よく考えれば、小泉前首相が、民営化後の郵政事業をコントロールできる筈はないのです。
騙した小泉純一郎が悪いのか、騙された国民が悪いのか。
郵政民営化を目前に、このまま進めて良いのかどうか、もう一度立ち止まって考える必要があるでしょう。
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