似たもの横綱「前田山と朝青龍」
日本相撲協会は8月1日、腰骨の疲労骨折などを理由に夏巡業の休場を届け出ながら、モンゴルに帰国しサッカーをしていた横綱朝青龍(高砂部屋)に対し、秋場所(9月)と九州場所(11月)の出場停止と4カ月間の30%減俸とする処分を決めました。
世間では、ヤッパリ外国人力士はマナーがという声もありますが、実は日本人横綱であり高砂部屋の大先輩にも、今回のケースとよく似た不祥事がありました。
それは戦前から戦後にかけて活躍した第39代横綱・前田山英五郎の「シールズ事件」です。
年配の方はご存知かも知れませんが、戦後間もない1949年、オドール監督率いるサンフランシスコ・シールズが来日し、日本のプロ野球全日本チームと交流戦を行いました。
シールズは3Aチームであり、我が方は当時のスタープレヤーを集めた選抜チームだったのですが、これが全く歯が立たない。確か全敗した筈です。
戦争で負けた上に、野球でも日米の力の差を見せ付けられ、屈辱的な思いをした日本人も多かったと記憶しています。
横綱前田山は大の野球好きで、本場所を休場中だったのにも拘らず、後楽園で行われた交流試合を見に行きました。
間が悪い時はしょうがないもので、横綱が見に来ているというので、オドール監督と握手したのですが、これが写真に撮られて新聞に掲載され大騒ぎとなりました。
この時は相撲協会からは特段の処分は無かったのですが、前田山自身がその責任を取り、そのまま引退しました。
これが「シールズ事件」で、引退後は高砂親方として横綱朝潮太郎を始め多くの弟子を育て、特に外国人力士第一号となる高見山をスカウトした事でも知られています。
前田山と朝青龍、およそ60年の時を隔てていますが、構図はそっくりです。
本場所が巡業に、野球がサッカーに、オドール監督が中田英寿に、後楽園がモンゴルに変わっただけです。
共に高砂部屋の横綱というのも共通してますね。あまり人気がないところも一緒です。
前田山が三代目朝潮を育て、四代目朝潮の弟子が朝青龍というのも、妙な因縁を感じます。
前田山はそのまま引退しましたが、朝青龍はどうするんでしょう。
力士も人気稼業ですから、復帰は難しいと思いますが。
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高砂部屋、現在、いわゆる直系(弟子が)で継承された部屋では最古の部屋ですね。
そもそも、初代高砂浦五郎にしても、いろいろと角界に波紋(いい意味で)を起こした人物でした。
晩年は、初志と異なる行動もありましたが、近代大相撲に貢献という点では、高砂部屋の果たした役割は大きかったように思います。
ただ、どこかの政党と同じく、やはり、権力の中枢に長いこと居座ると、種々の問題が出てくるのが常です。
ところで、追風家ってどうなっちゃったんでしょうか?
横審もその意味で制度疲労が出てきているようですし、この際、国技国技というのであれば、横綱も追風家免許にしたらとちょっと皮肉ながら思うしだいです。
投稿: 柴田晴廣 | 2007/08/05 01:02
柴田晴廣様
コメント有難うございます。
いやいや吉田司家とは、随分と懐かしい名前が出てきました。そういえば昔は、横綱推挙式には必ず吉田司家が出ていましたね。
追風家が横綱の免許を授与したのは東富士が最後だそうで、現在相撲協会とは全く縁が切れているようです。
相撲は単なる格闘技ではなく神事の要素が強いのですが、その辺りに教育がなされていないのでしょう。
今の横綱審議委員や教会幹部、親方達もそうした自覚が無いのかも知れません。
投稿: home-9 | 2007/08/05 01:26
あの日、後楽園球場ネット裏で野球を見ていましたので、良く覚えています。ファンは喜んでいましたよ。前田山の引退に比べ、今度の対処は甘いみたいです。
投稿: ツチヤ | 2007/08/28 15:58
ツチヤ様
コメント有難うございます。
いやいや、歴史の証人ですね。
前田山はあの後、本場所への出場を希望したのですが、協会がこれを断り、引退に追い込まれました。
当時の相撲協会の方が、毅然としていた感はあります。
投稿: home-9 | 2007/08/28 16:48