「塩崎」立てれば「小池」が立たず
アメリカ訪問で米首脳部を総ナメにして、凱旋帰国した小池百合子防衛相だが、帰国早々の8月13日、防衛事務次官の人事で立ち往生している。
発端は、小池防衛相が長期在任を理由に守屋武昌防衛事務次官を退任させ、代りに警察庁出身の西川徹矢防衛省官房長を昇格させる人事を、一方的に内定していた。
ここまでは世間ではよくある話。
中小企業なので社長が代替わりすると、昔の番頭さんは退けられ、新社長のお気に入りを据えるのは、しばしば見かけられる。
しかし官僚の世界、特に事務次官といえば省庁の事実上のトップ。幹部は大臣より事務次官の顔色を窺って仕事をしている。
そうした人事には、おのずからルールが存在する。
今回の小池防衛相の手法は、6日に西川氏に事務次官への就任を伝え、7日になって守屋次官に退任を伝えている。
新聞報道で自分の人事を聞かされたとされる守屋次官が、怒るのは当然だ。
通常は、大臣が先ず現職次官と相談して大筋の人事を決めるのがルールであり、小池氏のやり方がルール違反だと言われても止むをまい。
もう一つ、事務次官の人事は、正副官房長官による人事検討会議の了承を得て閣議で決定するのが慣例となっている。
今回の人事について、塩崎官房長官に対する事前相談がなされていなかった。
こうした不手際から小池人事構想は当面凍結され、内閣改造後に改めて決定するという仕切り直しになるようだ。
以上は表向きの話であり、裏はもう少しドロドロしている。
第一は、以前から不仲とされる塩崎長官と小池大臣のサヤ当てという側面。
改造内閣では「指定席」とされていた小池防衛相に対し、党内でも交代論が強まっている塩崎官房長官、面白かろう筈がない。
小池百合子サン、恐いのは男のメンツと嫉妬だと、心得られよ。
第二は、警察庁出身者を防衛事務次官に据えるという人事に対する、防衛省内の反発がある。省益という批判もあろうが、省内の幹部の協力抜きには、大臣は務まらないのも事実。
次官の人事でつまずき、大臣を更迭された田中真紀子元外相の前例もある。
アメリカで持ち上げられてはしゃぐのも良いが、小池防衛大臣殿、先ず自らの身を防衛するのが先決かも。
塩崎立てれば小池が立たず
小池立てれば塩崎立たず
両方立てれば我が身がもたず
進退ここに窮まれり
(安倍首相の心境を詠める)
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