「テロ」の増殖に手を貸した「テロ特措法」
通常国会で焦点となっている「テロ特措法」ですが、経済面だけ言えば、インド洋上に無料のガソリンスタンドを設置したということです。但し、利用出来るのは米軍とその協力者だけです。
安倍首相は利用者から大変感謝されていると強調しますが、そりゃそうでしょう。使う側から見れば、これほど便利なことはないし、もっと続けてくれと言うでしょう。
何もインド洋まで行かなくても、日本国内だって無料ガソリンスタンドを設置してあげれば、誰だって喜びますよ。
先ず「テロ特措法」でいう「テロ」とは何かを考えてみましょう。
「テロ」というのはとても幅広い概念であり、元々は権力者が対立する者を抹殺する行為を意味していたのですが、一方ではナチス占領下の抵抗運動をドイツ側はテロだとし、占領された側は抵抗運動(レジスタンス)と呼んでいましたから、かなり恣意的な言葉でもあります。
「テロ特措法」では、法律の目的を「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等・・・」としていますので、アメリカで6年前に起きた9・11事件を指していると考えて良いでしょう。
ではなぜ、自衛隊がインド洋上で米軍などに給油することが、テロの阻止あるいは阻止に結びつくのかいうことですが、その前提は下記の様であったと思います。
①「9・11事件」が、ビン・ラディン率いるアルカイダの犯行である。
②アフガニスタンとイラクが彼らをかくまい、支援していた。
③テロを阻止するためには、アフガニスタンとイラクで、アルカイダとその協力者を掃討しなければならない。
④こうした米軍の軍事行動を支援することが、対テロの国際貢献である。
9・11から6年経った今、これらの前提はどうなっているのでしょうか。
先ず「9・11事件」の首謀者ですが、本当にアルカイダの犯行だったのか、次第に疑いが持たれてきています。この事件そのものに、余りに不自然なことが多過ぎます。
なかにはブッシュ大統領側が起こした謀略だという説もありますが、少なくとも米国政府は事件の予兆を把握しており、それを見逃していたというのは事実でしょう。
かつて米国政府がビン・ラディンを支援していたということ、ビン・ラディン一族とブッシュ一族が石油ビジネスで結びついていたことなどが、未だにブッシュ陰謀説をくすぶらせています。
一応、9・11がアルカイダの犯行だとしておきましょうか。
しかしアフガニスタン戦争では、その肝心のビン・ラディンを逃がしています。逃げられたというより、始めから捕まえる気が無かったのではないかと、ついつい疑ってしまいます。
生死不明とされながらも、このビン・ラディンという男は、いつも絶妙なタイミングで姿を現すのも(映像だけですが)、何か作りめいています。
いずれにしろ、彼がブッシュ政権にとって、大事な「お客さん」であるのは間違いないでしょう。
イラク戦争につぃては、フセイン政権が9・11事件に関与していなかった、大量破壊兵器も存在していなかったというのはハッキリしています。
残されたのは、数万人ありいは数十万人といわれるイラク市民の殺戮であり、国土の破壊です。
その結果、イラク全土に本当の「テロ」が起きています。
それだけではありません。理不尽なアメリカの戦争により、特にイスラム社会の怒りを呼び、「テロ」の増殖と拡散を生んでしまいました。
6年間の帰趨が示しているのは、米軍の軍事行動が結果として、「テロリズム」と「テロリスト」を阻止するどころか、ますます増大させてしまった、これだけは明白です。
「テロ特措法」に基づく米軍などへの支援は、目的とは逆の結果となってしまった。政治は結果が全てです。
私たち国民は、むしろそれに手を貸してしまったという反省が必要でしょう。
「対テロ」「国際貢献」という印籠にひれ伏すのは、もう止めにしたい。
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ご無沙汰してます。
home-9さんは9・11事件はブッシュの企みだと思いますか?
きな臭いことは確かですよね、この事件は・・・
そして、これが個人およびその一族繁栄のために起こされていたとしたなら・・・
それを思うと、鳥肌がたってきそうです。
それにしても、いつも理路整然とした記事で感服する次第です。
投稿: dejavue | 2007/09/12 09:51
dejavue様
コメント有難うございます。
9・11について、私はブッシュ陰謀論には立っていません。
ブッシュとビン・ラディンとの阿吽の呼吸とでも言った方が良いでしょうか、あるいはビン・ラディンを泳がせているのが実態ではないこと思います。
しかし、いきなり安倍首相が政権を投げ出したのは驚きです。
最後の最後まで無責任男でした。
投稿: home-9 | 2007/09/12 14:27