落語界の襲名バブル
落語家の林家いっ平が、10月31日記者会見し、2009年3月に父の高座名だった林家三平を襲名すると発表した。
オメデタイ話に水をさすわけではないが、現在の林家いっ平の実力が、真打の水準に達していないのは、落語ファンの多くは先刻ご承知。先ずは芸を磨くのが先決だろう。
実兄のこぶ平の、林家正蔵襲名のお祭り騒ぎは記憶に新しいが、先代との余りの芸風の違いに、戸惑ったファンも多かったと思う。彼が襲名を機に、芸が飛躍したとも思えない。
兄が祖父の芸名を襲名し、弟は父の芸名を襲名する、落語界はいつから世襲制になったんだろう。
その林家三平、昭和の爆笑王とされているが、一体どの位の人々が三平の高座を観て、実力を知っているのだろうか。
以前の記事にも書いたが、私はそれほど面白いとは思わなかった。
「爆笑王」というネーミングだけが、一人歩きしているのではなかろうか。
現在、林家木久蔵親子のダブル襲名興行が、華々しく行われているが、その木久蔵自身が襲名されて騒ぐ程の実力があるのだろうか。いつ寄席に出ても、“笑点”の楽屋オチか、昭和芸能史と称する漫談でお茶を濁している。古典が出来る力があるのに、やらないのだ。客をナメテいるとしか思えない。
“笑点”人気に寄りかかって、芸の修行を怠った噺家の、襲名ウンヌンなど片腹痛い。
国立演芸場12月中席で、彼らの襲名興行があるが、15-16日の土日は公演が無いそうだ。こんなことは前代未聞ではなかろうか。
肝心の二人が他の予定が入っていて出演できないのだろうが、それなら小屋が襲名興行を断れば良い。
天下の国立が、何で芸人の都合に合わせて、こんな無理な興行を組むのか。
昨今の襲名ブームだが、つまるところ襲名興行で客を呼ぼうという下心がミエミエだ。
実力などそっちのけで、興行を最優先する、これではボクシングの亀田一家を笑えない。
寄席ブーム、落語ブームと言われているが、所詮ブームだの人気だのというのは、実に頼りにならないものだ。昨日まで面白かったものが、今日はつまらない、それがお笑いの世界の恐さである。
頼れるものは、実力しかない。
落語界も実力を伴わない襲名バブルで浮かれていると、そのうち「いっ平」返しならぬ、しっぺ返しがくる。
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