「紅白ウソ合戦」食品偽装は止まらない
「白い恋人」の後は「赤福」、これじゃまるで「紅白ウソ合戦」ですね。
農水省によれば、赤福は製造後冷凍し、最大で14日間保管した赤福を解凍して再包装して出荷する際に、製造年月日として出荷日の日付を表記し、消費期限もあわせてずらしていました。
過去34年間こうした処理が続いており、全体のおよそ2割が、こうした不正表示で出荷していたと見られています。
恐らく、製造元の経営者には不法行為を行っていたと言う認識は無く、今でも心中では「何が悪いのか」と思っているでしょう。
要は、食べた人に実害が無ければ良い、という判断です。
私事になりますが、10数年前に仕事の関係で、ほんの一時期、農産物生産者や加工品業界と接触する機会がありました。
農家や農協、キノコ類の栽培工場、卸売り市場などの関係者を訪ね、ヒヤリングをしたわけです。
その時の印象ですが、他の産業と比較して、法令を守るという点での意識が低いと感じました。
その時に耳にした裏話を紹介します。
原産地表示などの制度が未だ確立されていない時代でしたが、当時から「銘柄米はブレンド」と聞かされました。各種の米を混ぜ合わせて、銘柄米を作るのが「技術」だということです。
その結果、魚沼産「コシヒカリ」は、生産量の10倍もの製品が販売されるという状態でした。
他県で生産したものを〇〇県に運び、そこから出荷すると〇〇県産になるとも。
魚介類でも同様で、どこで捕れても下関から出荷すれば「下関フグ」、アジの開きは沼津に集めて、「沼津産アジの開き」として出荷していると解説がありました。
外国産のマツタケは香りが薄いので、包装材のフィルムにマツタケの香料を薄く塗っておくと、箱を開けた瞬間マツタケの香りが強くなるので、ゴマカシが利くという裏技もあるそうです。
キノコの栽培工場に行ったら、成長を促進するということで、特定の重金属を含む物質を添加していました。
以前、キノコ博士という方に面談したおりに、「キノコは健康食品みたいに言われているけど、結構危ないんですよ。」と聞かされていたので、これかと思いました。
ブリの養殖で成長ホルモンを与えていると、病気に罹りやすくなる。そのために抗生物質をまくと、時々奇形のブリが生まれるのだそうです。
「そういうのを安く売って、切り身がスーパーの特売品になるんだよ、ブリやハマチの特売品は、買わないほうが良いよ。」と忠告されました。
自家で食べる野菜は別の畑で栽培していて、「出荷している野菜なんか、家じゃ絶対に食べないよ。」と言っていた農家の方もいました。
無論、こうした生産者は全体の一部でしょうが、食品業界に対して、少なからぬ不信感を抱いたのは事実です。
10数年経た今も、こうした状態で継続しているとは思いませんが、全てが改善されているとも考えられません。
私が僅かな期間で、これだけの情報を得たのですから、農水省のお役人の耳には、とっくに入っていた筈です。
見て見ぬフリ、知らぬフリをして、見逃してきたというのが、実情だと思います。
なぜでしょうか。
日本の官庁というのは、どこでも産業側に立っており、決して消費者側には立たないものです。
農水省は、農業や漁業、食品メーカーの利益を守るのが優先で、何か問題が表面化した時だけ、行政処分や指導を行うというのが、基本的スタンスです。
旧厚生省は製薬メーカーと日本医師会を守り、旧建設省はゼネコンを守り、旧大蔵省は銀行と証券会社を守り、旧運輸省は航空会社と鉄道会社を守り、旧通産省は電力と自動車産業を守るという具合であり、勿論、現在もそのまま続いています。
監督官庁である農水省が消費者側に立たない限り、これからも食品に関する不正は止まないと思われます。
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