舛添要一厚労相の「化けの皮」
今年6月に当時の安倍首相が、年金記録5千万件全てを1年以内に照合するとの公約を発表し、実現を見ないままサッサと辞めてしまったのは記憶に新しい。これを受けて、片山さつき広報局長(当時)も「すぐにシステムを開発して全部通知する」と言明していた。
8月に舛添要一氏が厚労相に就任した際に、「最後の1人、最後の1円まで確実にやる」「政権公約として工程表を発表しており、これにのっとってやることは内閣が代わろうが変わらない」と公約し、来年3月までの統合完了を約束していた。
舛添要一と片山さつき、さすが元夫婦で息がピッタリだ。
処が、舛添要一厚労相は21日夕方の記者会見で、この問題で次のように述べている。
「場合によっては数%、何としても(氏名などが)見つからないというのは出てくる可能性もある。最後の1円までやるというのは、ある意味で選挙のスローガン。そういう意気込みでやるということだ。国民に報告し理解をいただくほかはない。」
あの時はああ言ってしまったが、実は選挙向けであり、完全な調査など出来ないよということで、実にふざけた発言だ。
私は6月に当ブログで、“「年金照合1年以内宣言」の大風呂敷”というタイトルの記事を載せ、この公約の実現は絶対に不可能だと指摘した。
デジタル化されたデータは検索が容易だが、アナログのデータを調べるのは気の遠くなるような作業になる。
誤ってインプットされたデータの修正するためには、膨大な原本(マイクロフィルムなどに収納)のデータと一つ一つつき合わせていかねばならない。
1年やそこらで全ての調査を完了するなどいう約束は、元々無理があった。
選挙目当てに出来もしないことを公約し、後は国民の関心が薄れるのをひたすら待ち、最終的には誤魔化そうとした魂胆がミエミエだ。
舛添要一という男は、大言壮語のパフォーマンスは得意だが、実行力はサッパリ駄目という典型的なタイプと見える。
今年8月に舛添要一大臣は、年金保険料の着服問題で「盗人には牢屋に入ってもらう」と言明したが、これも不発に終わっている。
地方自治体の職員による着服で、刑事告発が行われなかったケースはそれぞれ事情があり、大半は本人か家族が着服した金を弁済している。検察に刑事告発しても起訴猶予となるか、仮に有罪になっても執行猶予が付くかで、いずれにしろ牢屋には入らない。
そんな事情を知りながら、「牢屋に入れる」発言をしていたのだろう。
舛添要一厚労省に言いたい。
口先だけの大臣はもう要らない。
問われるのは実行力だ。
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