防衛汚職事件の核心をそらす「おねだり妻」主役説
守屋容疑者らが逮捕された防衛省接待汚職事件について、最近気になることがあります。それは一部マスコミが書きたてている「おねだり妻」、つまり守屋幸子容疑者が収賄を主導したかのような論調です。確かに彼女に対する山田洋行の接待は度を越しているとは思いますが、所詮は虎の威を借るキツネであり、彼女のおねだりが事件を引き起したという見方はあまりに皮相的です。
今回の汚職事件に関する政府と防衛省の姿勢を見ていくと、ある時期から守屋前次官らの収賄の事実は認め、接待汚職は組織的なものではなく、守屋個人の問題でるという形で処理しようという意志が固まりました。
つまり守屋切りです。
そして個人の特異性を強調する道具として、「おねだり妻」が利用されているのではないでしょうか。あれは女房が悪いのであって、守屋も気の毒だというわけです。
そんな事はありません。
今回の防衛省汚職事件の核心は、決してこの点にあるわけでは無い。
山田洋行の水増し請求では、装備品によっては50%も価格が上乗せされていたという事実が明らかになっています。
今どき、5割も高い物を買うバカがどこにあるか。自分の腹が痛まないから、平気でこういう事ができる。
こうした売価が通っているのは、防衛省が納入業者の言い値で購入しているという何よりの証拠です。
価格決定権が販売業者側にあり、50億円だと言われれば、ああそうかと買ってくれる、これが防衛装備品購入の実態なのでしょう。
他の省庁と異なり、購入品の多くが随意契約に基くもので、つまり特定の納入業者が指定されます。
一度指定を受ければ、定期的に製品が納入できるわけですから、これほどウマイ商売はありません。
そこで何とか指定をして貰おうと、幹部に接待攻勢をかけるわけです。
かくして軍需品メーカーや商社は大いに儲けて、その利益の一部を防衛省幹部の天下りの受け入れ、幹部たちへの接待、防衛族国会議員への政治献金に還元する。献金を受けた議員は、「国を守る」という大義名分の下で、出来るだけ多額な防衛予算を獲得する。
総額およそ5兆円という膨大な金額の予算、つまり税金が毎年使われていく。損をしているのは国民だけです。
政・官・業の人たちは皆ハッピーになってメデタシメデタシ、これが防衛汚職の構造です。
決して守屋容疑者だけが特別なのではありません。他の幹部に比べ少々やり過ぎたという所でしょうか。
接待側にしても、山田洋行だけということは有り得ません。ライバル企業だって、負けず劣らず接待攻勢はかけていたでしょう。そうしなければ、ライバル企業の営業担当はクビになりますよ。
それでも山田洋行の御家騒動と、それに続く日本ミライズとの民事裁判が起きなければ、守屋容疑者らへの過剰接待や贈収賄が明るみに出ることは無かった筈です。
そういう意味では、守屋は運が悪かったとも言えるでしょう。
山田洋行の裏金1億円が、毒ガス弾処理事業への協力費として、「日米平和・文化交流協会」常勤理事である秋山直紀氏が関係している「安全保障研究所」関連団体に支出されていたと、本日報じられています。
政官業と、それをつなぐフィクサーの主役たちが出揃いつつあります。
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