「女は乗せない戦車隊」じゃなかったんかい!
♪腰の軍刀にすがりつき
連れて行かんせノモンハン
連れて行くのはやすけれど
女は乗せない戦車隊♪
と唄われた日本軍の伝統は今いずこ、守屋容疑者の妻は、どうやら自衛隊の上に乗っていたようです。
11月28日守屋武昌前防衛次官と共に、収賄の身分なき共犯の疑いで逮捕された妻の守屋幸子容疑者は、防衛省内で「女次官」と呼ばれていて、「防衛省の天皇」といわれた夫に劣らぬ存在だったそうですな。
夫婦といえども別人格であって、亭主が偉い=女房も偉い、という等式は成り立ちません。世の中見渡しても、どちらかは立派だが、もう片方はワヤという家庭などザラです。
処が、夫が立身出世して偉くなると、周囲がその奥さんにまでヘイコラするようになり、妻の方も段々自分まで偉くなったと勘違いしてくる、まあここまでは世間によくある話。
これが高じてくると、夫の組織の人事にまで口を出すようになる。いわゆる病膏肓に入るというヤツですな。
まさか自衛隊の装備品の選定にまで、前次官の女房が決めていたわけではないでしょう。
元々防衛庁の職員であった守屋幸子が、防衛人事に影響力を持つようになった。だから「女次官」の異名を取ったという事だと思います。
この背景として浮かんでくるのが、防衛省幹部の妻らでつくる親睦団体「美鳩会」の存在です。
守屋の妻は副会長も務めていましたが、実質的にはこの組織を取り仕切っていました。
防衛省幹部の証言によると、「幸子容疑者は美鳩会で聞いたことを前次官に報告していたので、出席者はすごく神経を使って接していた」と明かしています。
守屋の部下の妻たちは、夫の出世のためと、さぞかし幸子容疑者に気を遣っていたでしょう。
民間企業でも役員の妻たちによる親睦会というのがあり、社長夫人が右を向くと全員が右を向く。盆暮れの付け届けは勿論、旅行に行けばお土産、誕生日といえばお祝いに伺うという具合に、その気遣いは大変なものだそうです。
かくして嫉妬と羨望が渦巻く女の世界が、そのまま夫たちの勢力争いにまで影響してくるわけです。
省内に影響力を持った妻を、軍需商社が放っておくはずが無い。将を射んと欲すれば先ず馬より、幸子容疑者に接待攻勢をかけた。
寝物語(見たわけではないが)にでも、「山田洋行の宮崎さんて、良く気が利く人ね。」と一言いって貰えば、それだけで十分ソロバンが合うというもの。
「美鳩会」の会合か何かで高級な店で飲食し、店を出るときに幸子容疑者が「今日の、山田洋行の宮崎さんにツケといてね。」と言えば、出席していた妻たちは帰宅後この事を夫に伝える。
そうすると、装備品の選定会議で、誰云うともなく山田洋行から購入することが決まるという仕組みです。
幹部から命令や指示があったかどうか問題とされますが、日本の組織では、幹部がいちいち指示しないと動かないようなら、その組織は失格です。
優秀な組織ほど、幹部の意向を忖度して部下は自発的に動くものなのです。命令ぜずに部下を動かす者こそ、優秀な幹部といえます。
最近よく、戦時中の出来事について、軍幹部の正式命令があったか無かったかが問題になりますが、私はあれはナンセンスだと思っています。
正式に命令を出していなければ幹部に罪が無いのであれば、オウム真理教の麻原は無罪だろうし、部下の不祥事で社長が引責辞任する必要がなくなる。
組織の幹部の責任というものは、それだけ重いものなのです。
だいたい男の仕事に女房が口出ししてくると、碌なことはない。
だから我が家では、私のことに女房には一切口出しさせないし、もしあれこれ言ってきても、私が一言いえば女房はピタッと黙ってしまう。
「スマン、俺が悪かった」と。
防衛利権と沖縄利権の絡みで、旧橋本派と旧森派との争いに端を発した守屋次官の辞任問題が端緒になり、山田洋行と日本ミライズの内ゲバに、久間元防衛相と守屋前次官がそれぞれのバックについて、遂には双方による前代未聞の暴露合戦となった今回の事件。
検察がどこまで、防衛利権の政官業の癒着構造の解明に踏み込めるか、大いに注目されます。
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