こんなものイラナイ「街の声」
TVのニュース番組などで、ある出来事を報道した後「街の声をきいてみました」と称して、街頭インタビューを紹介するのが一つのパターンになっていますが、あれってどういう意味があるんでしょうかね。
「ガソリン代が過去最高を記録しましたが」という質問に答えて「困りますね、何とかして欲しいです」。「年金の横領について、どう思われますか」「絶対に許せない」。確かにその通りでしょうが、報道する価値がどこにあるんでしょう。
仮に「ガソリン代はもっと高くして」とか、「年金横領はこれからも続けて」という声があったらニュース価値があるでしょうが、まあ放映されませんね。
私が勤めていた会社が一時期新橋駅の近くにありましたが、駅前広場では毎日のようにどこかのTVクルーが街頭インタビューを行っていました。沢山の人が待ち合わせで立っているので、意見を聞きやすいんです。現に各局のニュースの「街の声」では、必ずといって良いほど新橋駅前でのインタビューが写ります。
でも時々TV局の仕込み(サクラ)が配置されていますので、この場所での「街の声」は要注意です。
面白いのは、内容によってインタビューする場所が変わることで、先の新橋駅前は事件や芸能、スポーツなどの題材によく使われます。
これが政治や経済問題となると東京駅の丸の内側の通称三菱村とよばれる一帯か大手町、または日比谷などが選ばれています。
朝青龍だの亀田一家だのというと新橋、大連立だの円高だのというと丸の内や日比谷と、ちゃんと棲み分けがされているんですね。ここにも格差社会が存在します。
TV局としては、何も国民のナマの声を集めようなどとは露ほどにも考えていません。要は絵になっていて、局の方針に沿った「街の声」が集められば良いのです。
似ているものにアンケート「100人にききました」というのがあります。
以前ある作家が、売れない時期に「100人アンケート」を一人で作っていたと告白していましが、そんなものなのでしょうね。
あらかじめアンケート結果は決まっているのですから、一人でも作れるわけです。
街の声にしろ、アンケートにしろ、所詮は結論に対するお飾りでしかありません。
これとは少し違いますが、事件がおきて容疑者が捕まると、近隣の人に「どんな人でしたか」ときいて回る場面が写りますが、あれも意味が分からない。
TVの「水戸黄門」じゃあるまいし、外見からして悪人などという人は極めて少数で、ごく普通の人が凶悪な事件を起こすのが一般的です。顔に殺人鬼などと書いている人は先ずいません。
「この男、普段はごくごく普通の生活ぶりだったようです」などと解説されても、何の役にも立ちません。
以前、男が大便を容器につめて通行人の女性にかけるという事件がありましたが、犯人はごく普通のサラリーマンでした。近所の人がインタビューで、「そんな事をする人のようには見えなかったですよ」と言ってましたが、当たり前です。見るからに大便をかけそうな人間がいたら、そっちの方が恐い。
先日容疑者が捕まった香川県坂出市の殺人事件では、被害者の父親が犯人と名指しするような報道がありました。父親へのインタビューには明らかな悪意がこもっており、容疑が明らかになれば、そのまま犯人の映像として使えそうなカメラワークでした。
私は昔から思っていることですが、被害者の家族へのインタビューは、代表取材にすべきです。それでなくても、家族の方は警察から事情聴取されるなど、大きな精神的負担を負わされます。
家族の了解を得て、代表の記者が単独でインタビューし、これ以外の取材は自粛する、それで十分だと思います。
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