防衛省「天下り」はワイロだ
現在捜査が進められている「防衛汚職」の鍵をにぎるものとして、秋山直紀氏が常勤理事を務めている「日米平和・文化交流協会」の存在がクローズアップされている。この協会には額賀財務相や久間元防衛相を始めとする防衛族議員と、三菱重工などの軍需関連企業や商社が参加していた。
下の表に、「日米平和・文化交流協会」に参加している主な会員企業16社が、過去6年間に防衛省(庁)から受注した金額と、各社に防衛省から天下りした人員を示す。企業名のうち、IHIエアロスペース社は石川島播磨重工の100%子会社である。
受注金額は2001-2006年の期間、天下りは2000年7月-2006年12月の期間で防衛相(庁)承認分を累計している。
【「日米平和・文化交流協会」主な会員企業の防衛省からの受注金額と天下り】
受注企業名 |
受注金額(億円) |
天下り人数 |
三菱重工 |
16951 |
38 |
川崎重工 |
7935 |
18 |
三菱電機 |
6045 |
24 |
日本電機 |
4440 |
27 |
東芝 |
2671 |
14 |
石川島播磨重工 |
2640 |
17 |
富士通 |
1564 |
14 |
富士重工 |
1414 |
10 |
日立製作所 |
1151 |
14 |
伊藤忠商事 |
980 |
3 |
IHIエアロスペース |
972 |
8 |
三菱商事 |
539 |
3 |
住友商事 |
273 |
3 |
山田洋行 |
226 |
4 |
神戸製鋼所 |
131 |
2 |
丸紅 |
47 |
2 |
この「日米平和・文化交流協会」に参加している主な会員企業16社の6年間の受注総額は約4兆8千億円にものぼり、防衛省が発注した装備品などの大部分を会員企業が占めていることがわかる。
また16社が防衛省から受け入れた天下りは合計201名に達している。
この結果から受注金額と天下りの間に相関関係があるのではないかと推定し、両者の相関係数を求めた。その結果、
防衛省からの受注金額と天下りの相関係数=0.87
となった。
統計学的には、相関係数が0.7を越えると強い相関があると判定される。0.87という数字は極めて強い相関関係があることを立証している。
このことは何を意味しているかというと、防衛省から民間企業への天下りは、その企業の受注額で一義的に決められているということだ。
因みに、上の表から天下り一人当たりの年間受注額を単純計算すると、およそ40億円/人となる。
受注金額40億円につき天下り一人を受け入れているのか、天下り一人受け入れると40億円分の発注があるのか、いずれにしろ天下った防衛省OBの人件費は防衛費に上乗せされ、私たちの税金から支払われているのである。
天下りが発注の見返りであれば、実質ワイロということだ。
もう一つ指摘しておきたいのは、防衛省から受注している主要企業と、防衛族議員や防衛省幹部が一同に会する協会というのは、実は官製談合の隠れミノではないかという疑いだ。
防衛予算の大枠と各社への配分が、この場で(もちろん正式の会議の後の非公式会談で)話し合われているのはないかという疑惑だ。序に天下りや政治献金の割り当ても。
その仕切り役が秋山直紀氏だと考えると、今回の一連の防衛汚職の真相が見えてくる。
その場合、守屋容疑者や山田洋行はスケープゴートにされているという可能性もある。
「悪い奴ほどよく眠る」の例えあり。
それだけ、この防衛汚職の闇は深いということだろうか。
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