【寄席な人々】熟睡し続ける客
寄席で寝る、これは誰でも経験のあることで、仕事や会合の帰りに寄ろうもんなら居眠りの一つくらいは出るのは仕方がない。コックリコックリ居眠りならご愛嬌です。
ところがハナからシマイまで殆んど寝ている、というよりはグッスリ熟睡し続けている人に出会うことがあります。不思議に目を覚ましている時があり、それは仲入りとよばれる休憩時間になると起きてくるんです。そして高座が再開すると、また寝込む。
中には、一席終わり拍手が起きる度に目を覚まし、次の芸人が出てきて噺を始めると途端に寝込むという器用な客もいます。
金を払って入場しているんですから、寝ようと起きようと本人の自由ですが、たまたま隣り合わせに座っていられると、どうも気になって集中力を欠くことになります。
スースーと小さな寝息を立てているなら未だしも、大概こういう人はイビキをかく場合が多い。
音の大きさは距離の二乗に反比例しますから、噺家の声より隣のイビキの方が音が大きかったりすると、これは困ったもんです。入場料払ってイビキを聞きにきたんじゃねえや、と啖呵を切りたくなります。
今年の国立演芸場初席でも隣がイビキ客で、連れがいたから気を利かして注意くれるかと覗いてみたら、その連れも寝入っていて役に立たず。
昨年の池袋演芸場では、直ぐ後ろの席の客が大イビキで周囲から迷惑がられた時は、さすがに高座の落語家が注意して、演芸場の係員が退場させていました。
立川談志の高座なら、裁判になる所でしたね。
イビキが無くても最前列の隣席で熟睡されると、やはり気になります。以前、これも国立で最前列中央に座ったら、隣の年配のご婦人が開演から終演まで寝続けていて、妙に責任を感じて居づらい思いをしました。
このご婦人は、翌々月もやはり最前列で爆睡しているのを見ましたが、あれはもう嫌がらせですね。
横浜にぎわい座では、桟敷席の隣の男性が本を読み続けていたのも、気になりました。勿論、本は目で読み、落語は耳から聴くと言ってしまえばそれまででしょうが、一切顔を上げずに読書を続けるというのは、いかがなものでしょうか。
寄席、落語という芸能は、芸人と客が共同で創りあげるという特質があります。他の芸能舞台と異なり、会場を暗くしないのも、観客が共演者だからです。演者は客の反応を見ながらネタを考え、演出を工夫していきます。
噺がつまらなければ、芸が下手だと思ったら、笑いも拍手も要りません。それが客の反応として噺家に返され、彼らの成長を支えてゆきます。
しかし頭から噺を聴かないというのは、マナーに反すると思います。
2千円、3千円払ってヒタスラ眠るという贅沢に水を差したくはありませんが、後ろの方の席で静かにお休みになるよう希望します。
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