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2008/01/30

「再生紙」が環境を破壊する

Koshi最近多くの製紙会社が古紙の配合率を表示より低くしていたという「再生紙偽装」問題、一体何が悪いのか私にはサッパリ分らない。
例をあげるとすれば、国産牛肉を米国産牛肉と表示したようなもので、これは「偽装」とは言えないだろう。
第一この「偽装」には被害者がいない。偽装によって誰かが被害を受けてわけではない。
食品や建築の偽装とは、根本的に違う。

コスト面から見れば、バージンパルプの価格は古紙の数倍以上するので、本来は古紙を混ぜれば混ぜるほどコストが下がる筈だが、実際はそうではない。むしろ安い古紙を使うと、却ってコストが上がるというケースもある。
こいした現状を無視した再生紙の押し付けは、むしろ環境破壊を促進している。

我が家では再生紙トイレットペーパを一切使わないことにしている。
その理由は、以前に仕事の関係で再生紙の工場を見学して、果たして環境保護に役立っているのか疑問を感じ、さらに再生紙の危険性を感じたからだ。
再生紙は、新聞紙や雑誌、広告などに一度使われた後で回収された古紙が原料とする。
最初に水をいれた巨大なミキサーで撹拌し、どろどろのスラリーを作る。その後、ホチキスやフィルムなどの異物を除去する。取り除かれた異物は、多量に水を含んだ廃棄物となる。

次に脱墨と呼ばれる、古紙に付着する印刷インクを除去する工程に入る。新聞紙で鼻をかんだ経験がある方ならご存知だろうが、鼻が真っ黒になる。インクを除かなければ、紙にはならない。
私が見た工場では、発泡剤を加えて泡立たせてインクの微粒子を表面に浮かせて除去する方法をとっていたが。紙の白度を上げるのは、この工程を繰り返すのだ。
もちろん、除去されたインク類は廃棄処理が必要となる。
古紙のスラリーには発砲剤が多量に含まれており、このままでは製紙工程に移れないので、消泡剤を添加して泡を完全に消す操作がいる。

製紙工程に入ると、古紙の大きな欠点として湿気を含むと極端に強度が落ちることだ。
製紙というのは紙が自身を引っぱりながら抄きあげて行くので、ある程度湿潤強度が求められる。そこで強度を上げるために添加剤が使われるのだが、これがかなり多量であったと記憶している。
この後、紙に必要なインクが滲まないようにするための添加剤、印刷した時裏写りが起きないような添加剤を加えて最終的に再生紙が得られる。

つまり再生紙というのは、実は「薬品漬け」の製品なのだ。
我が家のトイレットペーパーに再生紙を使わなくなった理由が、ここにある。
紙は通常、パルプ1に対して水を数百倍使う、製紙メーカーが自らの企業を水商売と呼ぶのも、このためだ。
工程が増えれば、それだけ使う水の量も増える。使用した水は必ず排水処理が必要だ。
こうした様々な理由で、古紙を使うと却ってコストが上がるという現象が起きるのである。
環境保護に貢献しているかどうかは、水や数々の添加剤、燃料使用量など総合的に判断する必要があり、単に古紙の割合さえ増やせば環境にやさしいなどと言うのは、妄信に過ぎない。

「偽装」の責任は製紙会社にあるのではなく、実態を無視した数字を押し付けた環境行政にあるのではなかろうか。

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環境」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、いつも楽しく拝見させていただいております。今回の再生紙偽装問題、わたしもほめくさんと全く同感であります。
この件で誰が被害を被ったんでしょうか?
悪い点は契約履行を怠ったという点だけでこれほど大騒ぎする事とは思えません。
最近のリサイクル=何でも環境に優しいという風潮は余りに表面しか見ていない気がして賛同する気にはなれません。
ちょっと違うかも知れませんが、家計の事を気にしている主婦が市内の店より100円安いからと言ってガソリン代かけて隣の市に買い物に行って節約出来たと言っているのと同じような感じではないでしょうか。
  

fuumin様
コメント有難うございます。
リサイクルが環境保護に役立つかどうかは
新たに製品に投入する全資源≧再生品に投入する全資源
の関係が成り立たねばなりません。
古紙の再利用に関しても、そうした総合的な見地に立った検討を行う必要があります。
再利用=環境保護という先入観は、改めるべきだと思います。

こんにちは、私は武田邦彦氏の著書を読んで環境問題の嘘に関心を持った者です。今回の再生紙偽装問題、わたしもほめくさんと全く同感であります。ごみの分別は実は余計環境に悪く、コストも余計にかかるものだそうです。駅などで分別用にごみ箱がたくさん種類別に置かれているのを見ると、とても嫌な気持ちになります。家庭ごみは専用のごみ袋を買わないと持って行ってくれなくなり、無駄に分別も細かいし、嘘のエコのせいで生活がどんどん不便になっていることに憤りを感じます。

プッチ様
パルプ消費=森林破壊という考えは根本的に間違っています。伐採した跡を植林して行けば良いのですし、多くのパルプ企業はそうした方法で資源を確保しています。
現場を知らず頭の中だけで考えるから無駄な分別が行われ、最後は埋め立てや焼却処分される事になります。
リサイクルにも資源やエネルギーが使われ、それに伴う環境問題を引き起こすという視点が欠けているとしか思えません。

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