第346回花形演芸会@国立演芸場
3月1日の夜の部は花形演芸会。ビールを飲んで軽い食事をとり、再び国立演芸場に戻る。
・柳家初花「反対俥」
若いうちは変に「受け」狙いで小細工せず、真っ直ぐに行った方が良い。
・一龍斎貞橘「笹野名槍伝 海賊退治」
講談の大半は英雄豪傑伝だが、時代とかけ離れてきているのだろうか、聴いていても今一つピンとこない。
・鏡味正二郎「太神楽」
和傘の上で茶碗を回す芸は、いつ見ても感心する。
・林家彦いち「厩火事」
マクラで蘇民祭の参加した時のエピソードなどを披露していたが、確かにこの人、そのスジから人気がありそうな風貌だ。
マクラが長引いて、端折った「厩火事」になってしまったが、全体にもう少し丁寧に演じた方が良い。それと、女房おさきに色気が足りないのが致命的。
―仲入り―
・三遊亭円馬「蛙茶番」
典型的なバレ噺(艶笑噺)だが、円馬は終始丁寧に演じていた。この手のネタは、演者が照れてしまうと下品になり、面白くなくなる。正統派の「蛙茶番」となった。
・柳家紫文「俗曲」
師匠である柳家紫朝は実に良い喉をしているが、病を得てから高座に上がる機会が減ってしまい、とても残念だ。以前、新内の「蘭蝶」を聴いたことがあるが、ウットリとして聴き入ってしまった。それなのに、この弟子のテイタラク。師匠が「蘭蝶」なら、弟子は「乱調」。
トリは三遊亭遊雀で「御神酒徳利」。
とても面白かったが、評価は分かれると思う。
遊雀の演出は、オリジナルをかなりカットして、テンポの良い噺に変えていた。時間も10分以上短縮していたと推定される。その分ストーリー展開はスピーディーとなり、間然とするところがない。適度に入れられるクスグリも、会場を沸かしていた。
その結果、他の演者に有り勝ちのダレルこともなく、楽しい「御神酒徳利」となった。
反面、辻褄が合わない部分も出てきて、オリジナルの持つ風格を欠くという評価もあるだろう。
長いネタなので、まともに演じると普通の定席では掛けられない。かと言って時間に迫われると、筋だけを追うことになり、無味乾燥な出来になってしまう。
遊雀の試みは、それに対する一つの回答を示していると思われる。
通算すると8時間半、最後まで辛抱できたのは我ながらエライ。
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