それでも「北京五輪ボイコット」は間違いだ
私は元々中国でのオリンピック開催には反対であった。何で北京での五輪開催を決めたのか、今でも疑問に感じている。しかしIOCで北京での開催を決め、準備が進められ、世界各国の選手たちも出場に向けて練習に励んでいる以上、開催を阻害するような動きは避けるべきだと思う。
ここ最近になって起きたチベットの暴動が引き金になって、一部に北京五輪ボイコットの動きが出ているが、中国のチベット抑圧は長い歴史があり、今に始まったことではない。大気汚染や食の安全また然り、とっくに分っていたことであり、そういう問題を含めて世界各国は北京での開催を認めたのではないのか。
直前になってイチャモンをつけるようなやり方は、好ましいとは思えない。
中国政府によるチベット弾圧に対して、特に欧米各国の政府やマスコミ、世論が熱くなっているようだが、我が国としては尻馬にのって、あまり軽々に動かない方が良いと思う。
一つには、チベット問題は中国の内政問題であり、中国の国民自身が決めることだ。小数民族問題や人種問題というのは、多かれ少なかれどこの国にも存在する。
二つ目は、チベットの独立問題をどう考えるかという点だ。
中国には漢族以外に、55の少数民族が存在する。仮にチベットの独立が実現したとして、それが引き金となって中国国内が群雄割拠の状態になり、少国が次々と分離独立を果たした場合、それが果たして日本にとってハッピーな結果になるかどうか、疑問があるからだ。
中国が旧ユーゴのようになれば、隣国である我が国に影響が出るのは必至であろう。対岸の火事を楽しんでいたら、こっちに火の粉が降りかかってきたという事にならぬよう、ここは慎重を期すべきと考える。
話はチョットかわるが、3月22日に台湾の総統選挙が行われた。私はこの選挙には大きな関心があった。オバマかヒラリーかということより、こちらの選挙の方がよほど重要だったと思う。
結果は国民党が勝利し、8年ぶりに政権に復帰した。
中国の内戦に破れ、大陸から逃れてきた蒋介石ら国民党が勝手に政府を作り、銃剣で台湾人を支配してきた歴史をふりかえると、民主化に逆行するのではなかろうかという危惧を持っている。国民党はルーツからして親中国であり、総統に選ばれた馬英九氏が選挙中、チベット暴動での当局による鎮圧を「横暴」と非難したり、北京五輪ボイコットの可能性にも言及したが、所詮は選挙用のポーズだったのではなかろうか。
民進党の下野により、少なくとも台湾が独立国として国連に加盟する道は、大きく遠のいたことだけは確かだろう。この点はとても残念に思っている。
中国でのチベット騒動、台湾の総統選挙での国民党の勝利は、これからの日本の平和と安全に影響が出てくる可能性があり、注視する必要があるだろう。
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