カード社会は「国民監視社会」だ
自動販売機でたばこを購入するために必要となる成人識別ICカード「taspo(タスポ)」が、いよいよこの5月から順次全国的に稼働する。
taspoカードは下記のようなデザインになっていて、本人の写真も表示される。して見ると、やがて対面販売でもこのカードの提示が義務づけるつもりなのだろう。
なんとも窮屈な世の中になり始めたものだ。
日本がいつの間にか年間3万人という自殺大国になってしまったり、75歳以上の年寄りは早く死ねという制度を作ったり、そういう問題は放置しておきながら、こういう事だけは迅速なのだからイヤになる。
これで味をしめると、これから次々に成人(又は18歳以上)識別カードが制度化されるんだろうね。
アルコール:「nomeru」カード
映画:「modaeru」カード
AV&DVD:「nukeru」カード
パチンコ:「moukaru」カード
風俗:「mikosuri-han」カード
なんて色々なカードが氾濫し、外出する時は、常に何十種類ものカードを持ち歩かなくてはいけなくなるだろう。
「お飲み物、なんにいたしましょう?」
「そうだな、今日はやたら暑かったから、取り敢えずビールといこう。」
「それでは”nomeru”カードを拝見します。」
「なんだ、そりゃ?」
「お客様が成人かどうかの確認ですが。」
「バカ言え。オレは今年70だぞ。見りゃあ分るだろうが。」
「でも規則でございますから。どれどれ、あのー、写真とご本人とは似ていませんが。」
「写真は30年前のものだ。オレのものに間違いはないんだから、早く確認してこいよ。」
「ハイ、カードをお返しします。」
「あれ、ビールはどうした?」
「実はただ今、全国酒販組合のシステムトラブルで、お客様の確認ができません。取り敢えずウーロン茶かオレンジジュースならお出しできますが。」
「ダメだ、こりゃ。」
カード社会というのは実は「監視社会」でもあり、本当はこれが一番恐い。カードを使うたびに、アナタが何月何日何時何分何秒に、どこで、何を買ったかが全て記録されてしまう。ポイントを餌にして、スーパーやデパートが買い物カードを発行しているが、アナタの買い物の動向が全て把握されてしまう。クレジットカードも同じだ。
電車のプリペイドカードや航空機のマイレージカードにより、アナタの移動の軌跡は全て記録されてしまう。
駅や商店街、幹線道路などに付けられている監視カメラで、あなたの姿は日々記録されている。
個人情報保護などと言っておきながら、実は全ての個人情報が丸裸にされている社会でもある。カード社会によって、アナタの動きはリアルタイムで記録され続けているのだ。
私は、以前は銀行のカードしか持たないことにしていた。別に悪い事を企むつもりは毛頭ないが、どこかの誰かから、日々私の行動を記録されるのがイヤだったからだ。クレジットカードも作らない主義だったが、米国に旅行に行くときに、クレジットカードが無いとホテルの予約が取れないと言われ、やむなく取得した。その他のカードは今も一切作らない。
「国民総背番号制度」などというと、直ぐにプライバシーが持ち出されるが、そういう人々が各種カードを平気で使っているのが、不思議でならない。
安易なカードの導入は、やがて国民監視社会に道を開きかねない。何でもかんでも認証カードが要求される社会なんて、息苦しくてショウガナイ。
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