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2008/04/14

やっぱり「早死医療制度」だ

自宅近くに良心的な診療を行っている病院があり、そこの院長をしていた方が「高齢者にこそ最高の医療を提供すべきというのが私の信念です」と言っておられて、感激したことがあります。しかし今回の後期高齢者医療制度が導入されてからは、二度とこういう医師は現れないでしょうし、もしそんな信念を持っていたら病院は直ちに潰れます。
新しい制度では75歳以上の人に限って、従来とは異なったシステムを導入しています。
一つは診療報酬の「包括払い」
二つ目は「主病ルール」
です。

先ず「包括払い」あるいは「包括医療」とは、どういうものなのでしょうか。簡単にいえば、診療に要する費用を一定額に定めるというシステムです。
定額制度になるとどうなるでしょうか。診療報酬は一定金額に抑えられるため、病院としては何をやっても収入は一緒ということになります。先の院長のように、親切な医療を行おうとすれば赤字になり、沢山の慢性疾患を抱えた患者は病院から敬遠されるようになるでしょう。
新制度では、「検査」「画像診断」「処置」「医学監理など」の合計が月額で6000円と定められています。今回だけを見ればそう大きな影響は受けないと思われるかもしれませんが、いったんこうした制度が作られると、範囲や金額はいつでも変えられます。

では、定額を超えてもなお医療が必要となると、患者はどうするでしょうか。止むを得ず「自費」で支払うようにするしかありません。これこそが厚労省の最大の狙いなのです。
最低の医療は健保で診るが、あるレベル以上の医療は患者が自分の金で診て貰えという、いわゆる「混合診療」制度に道を開くものです。
この結果、お金の有無で健康や生命が左右されるようなことになり、日本の医療制度の根本が崩壊につながる危険性があります。

もう一つの「主病ルール」とはどんな制度でしょうか。複数疾患の中から一つだけの主病名に限って診療報酬を算定するというというもので、これからは一人の患者は、一人の主治医のもとで、一つの「主病の診療」を1ヶ月間にわたり受けるというルールです。その患者と「契約」を交わした医療機関が「登録医」となり、「登録医」以外で治療する時は安い診療報酬しか支払わないという仕組みを作りました。
お年寄りはいくつもの病気を抱えているのが普通で、その中から一つだけ主病を選ばせることに、どだい無理があります。

年齢で医療に差別を持ち込む制度は、世界にも例がありません。
ではなぜ、75歳以上に人を対象に、こうした制度を作ったのでしょうか。私は二つの理由があると思います。
一つは、政府が推進している医療費の抑制を、一番弱い立場の層、75歳以上の高齢者をターゲットにしたものと思われます。厚労省は終末期医療についても、自宅で死ぬ人の割合を、現在の20%から2035年には40%に引き上げようとしています。厚労省の狙いは、年寄りは「家で死ね」「病院に連れてくるな」ということに尽きます。
もう一つには、実はここで書いた後期高齢者医療制度の内容は、かなり簡略化したもので、実際にはもっともっと複雑な制度になっています。こういうと失礼かも知れませんが、高齢者の方はなかなか完全に理解できない仕組みだろうと想定されます。理解出来なければ反対もないだろう。気がついた頃には既成事実が先に進んでいて、もう後戻りはできまい、そう企んだものと考えます。

日本は古来より、年寄りを敬い大切にし、長生きを寿ぐという伝統がありました。古稀、喜寿、傘寿、米寿、卒寿、白寿などでは、家族や孫たちが揃ってお祝いをするという風習がありました。
医療費の増加を高齢者にせいにして世代間の対立をあおり、75歳で区切って別の医療制度を持ち込むことにより、こうした伝統も次第に薄れていくのではないでしょうか。
何だか長生きすることで、肩身の狭い思いをするような社会になることを、私は憂慮しています。

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