第4回ワザオギ落語会in国立演芸場
ミックス寄席が年1回開催しているワザオギ落語会、第4回は5月17日国立演芸場で行われた。当日の公演はライブ録画され、後日そのままDVDとして発売されるとあって、演者としては余計なプレッシャーがかかるだろう。若手ベテラン織り交ぜて実力派を取り揃えた今回の、出来やいかに。
三遊亭好二郎「宗論」
三遊亭好楽の弟子なので圓楽一門、普段は寄席ではお目に掛かれない。風貌がどこか師匠に似ている。芸風が明るく口調も明快で好感が持てる。緊張のせいか固さも見られたが、独自のクスグリも適度に織り込み、良い「宗論」に仕上がっていた。
今秋真打に昇進するそうだが、期待が持てる。
桃月庵白酒「転宅」
得意のネタだったが、やや精彩を欠いていた。「二階に用心棒を置いて」の「二階」を抜かすなど、大事な所でミスが出た。着実に進歩している期待の若手だけに、一層の精進が望まれる。
それと、体質なのだろうか汗をかき過ぎる。高座で頻繁に汗を拭く姿は、あまり感心できない。
三遊亭圓丈「強情灸」
最近の圓丈は古典を手がけることが多いが、この人の古典では並の真打レベルになってしまう。せっかく圓丈を観にきた客はがっかりするだろう。
この「強情灸」というネタは意外に難しく、絶品の古今亭志ん生を除くとその他では先代の柳家小さんの名前が上がる程度である。
当初予定のネタを変更したようだが、演目の選定を誤ったのではなかろうか。
―仲入り―
柳家喬太郎「ちりとてちん」
マクラでネタが「ちりとてちん」と分ると、会場から「エッエー」という小さな反応があり、「圓丈師匠が『強情灸』だったんだから、『ちん』でいいでしょう。」と喬太郎のエクスキューズがあった。
こういう軽目のネタでも、喬太郎が演じると十分楽しめた。
この「ちりとてちん」というネタだが、元々は「酢豆腐」を改作したもので、上方落語である。以前は東京の噺家は専ら「酢豆腐」を演じていた。やはりオリジナルの方が江戸っ子らしい洒落っ気があって、私は好きだ。
仲入り前のダレ気味の空気を締めて、トリにつなぐ。
柳家権太楼「文七元結」
高座に上がってきた権太楼の表情が見るからに気合が入っており、これは大ネタだなと予感したが、果たして「文七」だった。
非常に良い出来だった。始めから終わりまで間然とするところがなく、緊張感を維持したまま最後まで客席を引き付けた。
この噺は、大きく3度のヤマ場がある。長兵衛が佐野槌の女将に意見される場面、吾妻橋の上で文七の身投げを助ける場面、長兵衛夫婦の喧嘩から大団円の至る場面である。
演者により、どの場面に力点を置くかが別れる。例えば古今亭志ん朝なら吾妻橋上、三遊亭圓楽なら夫婦喧嘩、立川談春なら女将に意見される場面となる。
権太楼のものは、志ん朝の演出に近いが、時間の関係からか、だるま横丁の前で酒の切手を買う場面などが省略されていた。
欲を言えば、このネタは泣かせる場面とカラッと明るい場面が混在しているが、権太楼の演出はやや湿っぽい方に重心が行き過ぎたように思う。
帰りに周囲の客から「今日の文七良かったね」という声が聞こえた。
終わり良ければ全て良し、権太楼の熱演に尽きる会となった。
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