「サマータイム」で環境保護だとぉ!
近ごろ都に流行るもの、それは「環境病」患者。なんでもかんでも「地球環境保護」と結びつけ、効果が不明なのにも拘らず有り難がってお題目のように唱え続ける。その最たるものが、バイオ燃料だった。環境保護の切り札みたいにもてはやされていたが、結果はどうだろうか。当初から予想されていた通り、穀物価格が上昇し、貧困層の飢餓を世界に拡げることになった。こういう人々は、人の命より環境が大切なのだろう。
仕掛けた人間ははっきりとした企みを持っている。バイオ燃料なら穀物価格の上昇を織り込んで、先行投資していた連中である。処が、これに乗っかり推進している人たちは、善意の人が多い。この「善意」がまた始末に終えないのだ。
今の「レジ袋」追放運動もまた然り。喜んでいるのはエコバッグとやらの販売者であり、スーパーの経営者だ。当ブログでも、「レジ袋」問題のまやかしについて早くから指摘してきたが、最近になってようやく環境保護に逆効果だという論調が出始めている。
A(石油、レジ袋)をB(バイオ燃料、エコバッグ)に替えた時、Aのマイナス分しか計算せず、Bのプラス分を計算していない、こういう初歩的な(推進者は計算づくだが)思い違いがいけない。
さて本題の「サマータイム」、どうやら政府は本気になって導入を図っているらしい。
実は、私はサマータイムを過去に経験している。終戦直後の1948年に進駐軍の命令により、日本でもサマータイムが実施されたことがある。もっとも当時は「サンマータイム」と呼ばれていたが。しかし悪評で、日本の独立とともにわずか4年で廃止されてしまった。そんな前歴ありの制度を又やろうというのだ。
サマータイム導入にあたって良く持ち出されるのは、先行して実験している北海道で賛成が7-8割に達しているというアンケート調査である。処がこのアンケートは、サマータイムに賛同して実験に参加した企業の経営者や従業員を対象にしたものだそうで、それなら賛成が多いのは当然なのだ。こんな数字のマジックまで使って導入を図っているサマータイムとはどんな制度なのか。
夏季には夏時間になり、時計の針を1時間進ませるという制度である。例えば、会社の就業時間が午前9時から午後6時までとしよう。夏季になると1時間進ませているので、通常の時間でいえば、午前8時から午後5時までが勤務時間となる。
早く始まって早く終わる、良いじゃないかと思われるだろうが、どっこいそうはいかない。いつも午後8時まで仕事をしている人は、サマータイムになっても午後8時まで残業してしまう。悲しいサラリーマンの性が、結果として残業(あるいはサービス残業)を増やすことになる。
一時期、企業でフレックスタイム導入がはやされた事があり、私の勤めていた会社でもこの制度を導入した。一定時間仕事をすれば、時間帯は自由という一見すると合理的なシステムである。
正規の就業時間が9時から18時の企業で、これを7時から出勤して16時に退社しようとすると、周囲の眼が気になり、やっぱり18時まで仕事をすることになる。10時に出社して19時まで仕事をしたいと思っても、取引先から9時に電話があり、未だ出勤していないと答えると怪訝な反応が返ってくる。朝一番の打ち合わせに「又あいつがいない」などと言われかねない。結局気が付けば全員が正規の勤務時間に戻っていて、ちっともフレックスにならなかったという結果に終わった。
横並び意識の強い日本のサラリーマンには、不向きなのだ。
海外では多くの国が実施しているではないかというのも理由の一つだ。だけど外国と日本ではサラリーマンの仕事の仕方が違う。生活様式が違う。
以前アメリカの企業で働く人に訊いたところでは、サマータイムになると退社時間が早くなる一方、夏季は日没時間が遅いので、退社後に近くのゴルフ場で同僚たちとハーフ位は回れるので大歓迎と言っていた。そんなサラリーマンは、日本には先ずいないだろう。
どっちが良いか悪いかではなく、慣習が違うのだ。
「仏作って魂入れず」で、制度だけ導入しても中味が変わらなければ、結果は逆効果になる。
ゆめゆめ「サマータイムで地球環境保護」などと騙されぬように。
いつも政府批判ばかりしていると思われるでしょうが、決してそんな事はありません。誉めることもあるんです。
クラスター爆弾の禁止条約づくりを目指す「オスロ・プロセス」で、一部の最新型爆弾を除いて禁止する条約案の受け入れを日本政府は正式に表明しました。自衛隊が保有しているクラスター爆弾も、廃棄することになるでしょう。これは大変良いことです。
小泉、安倍と二代続いた総理大臣が揃ってアメリカの顔色ばかり窺って、禁止条約に賛成してこなかったのですが、福田首相久々(初めての?)のヒットです。
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