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2008/05/29

自衛隊の中国派遣に反対する

中国政府が日本政府に対し、四川大地震の被災地支援のため、自衛隊の派遣を要請し、これに応えて日本政府は被災者支援のため、自衛隊の輸送機でテントや毛布、医薬品などを運ぶ方向で検討に入った。このまま行けばどうやら自衛隊が中国に派遣されるのは確実の様だが、私は反対である。
結論からすれば今回の自衛隊の中国派遣は、自衛隊が人民解放軍の補完部隊、後方支援になりかねない危険な要素を含んでいると考えるからだ。
自衛隊の任務として、自衛隊法第3条に次のように定めている。

(自衛隊の任務)
第3条 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。
2 自衛隊は、前項に規定するもののほか、同項の主たる任務の遂行に支障を生じない限度において、かつ、武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において、次に掲げる活動であって、別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行うことを任務とする。
1.我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応して行う我が国の平和及び安全の確保に資する活動
2.国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与その他の国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動

自衛隊の使命は日本の防衛であり、国内での災害派遣も国土の防衛という文脈から行われている。
今回の中国への派遣は、この原則を逸脱するものと考える。
その災害派遣だが、同法第83条に、特に緊急を要する場合を除き、都道府県知事などの要請があった時にだけ派遣できるとされている。

(災害派遣)
第83条 都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。
2 防衛大臣又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。ただし、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。

つまり国内の災害派遣においても、これだけの厳しい規定がなされているのである。海外からの災害派遣要請についても、ただ要請があったからという安易な判断は許されない。
もう一つ、今回の中国への自衛隊派遣に関連する法律として国際緊急援助隊派遣法があるが、同法の第2条、第3条2項の規定は次の通り。

(国際緊急援助隊の任務)
第二条  国際緊急援助隊は、前条に規定する災害に係る次に掲げる活動(以下「国際緊急援助活動」という。)を行うことを任務とする。
一  救助活動
二  医療活動(防疫活動を含む。)
三  前二号に掲げるもののほか、災害応急対策及び災害復旧のための活動
(関係行政機関との協議)
第三条
(1項省略)
2  外務大臣は、前項の協議を行つた場合において、第一条の目的を達成するため特に必要があると認めるときは、自衛隊法 (昭和二十九年法律第百六十五号)第八条 に規定する部隊等による次に掲げる活動につき協力を求めるため、防衛大臣と協議を行う。
一  国際緊急援助活動
二  国際緊急援助活動を行う人員又は当該活動に必要な機材その他の物資の海外の地域への輸送

中国の四川省大地震について、既に救助活動と医療活動は実施しており、その上に政府は「特に必要があると認める」ということで、自衛隊の派遣を行おうとしている。
では現在の中国政府による被災者救援活動は、どうなっているのだろうか。
報道で見る限りでは、人民解放軍を主体とした活動は、人命救助というより専ら治安対策に重点が置かれている。つまり国民の命より、国家権力(政府)を守ることが最優先なのだ。
この点は、我が国が行ってきた救助活動や医療活動に対して、まるで「招かざる客」のような扱いがなされてきたことからも明白だろう。
日本の救助隊や医療班が被災地に入ると被災の実態が明らかになるのを何より恐れて、肝心の被災地に極力近付けないようにしていた。人命より事実の隠蔽が優先されている。

今回の自衛隊派遣についても、援助物資を北京、西安、成都などの国際空港へ空輸することが主たる任務である。
しかし今問題なのは、援助物資が肝心の被災地に届いていない事であり、そうしたルートが阻害されている以上、いくら援助物資を空港に運んでも、人命救助には役に立たない。
ではなぜ今回の自衛隊の中国派遣を進めようとしているかだが、その理由は次の点に尽きるだろう。
①被災の状況が余りに深刻で、中国政府は治安対策上、あらゆる手段を講じていることを国民にアッピールしたい。そのダシに日本の自衛隊を使う。
②自衛隊海外派遣の恒久化法案を準備している日本政府としては、中国が自衛隊を認知したことが裏づけされ、「待ってました」のタイミングだった。自衛隊幹部が妙に乗り気なのも、そのためだ。

人命救助は表看板で、実際には日中両国政府の「不純な動機」が実態の自衛隊派遣であり、容認することはできない。

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コメント

自衛隊さんは、石原さんから「弟の具合が・・・」と言われただけで出動する組織ですもんね。実は何も考えていないのかもしれません、凄いと思います!

ロング様
コメント有難うございます。
そうそう石原慎太郎、そんな事もありましたね。自衛隊法では出動についてかなり厳格な規定があるのも拘らず、有力議員連中が私的に利用するケースも後を絶ちません。
今回の中国派遣は見送りが決まったようですが、妥当な判断でしょう。

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