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2008/06/29

「非婚・モテ格差」時代の凶悪犯罪

Akiba_kato娘から「お父さんはいい時に生まれた。今だったら一生結婚できない。」と言われた。実の子どもなのになんと言う言い草かと思う反面、当たっていそうなのが口惜しい。真面目に働いていても、なかなか結婚できない男性が多いのが昨今の現実だ。いわゆる「非婚」の時代である。
「モテ格差」という問題もある。モテル男にはあり余るほどの女性が集まり、モテナイ男はサッパリという現実である。
世の中には、東京都教育委員を8年間の務めた米長邦雄のように「千人斬り」を豪語するような人物もいれば、その陰にはガールフレンドが一人もいない男もいる。米長永世棋聖の愛弟子だった人の証言によると、婚約者を引き合わせたら目を付けられ、米長邦雄が自分の愛人にしてしまったというのだから、スケコマシの天才だ。教育委員にしておくにはモッタイナカッタ。
単純計算するなら、1000人斬りの男が一人いれば、その一方でで999人の男が泣いている。

6月8日に起きた秋葉原での無差別殺傷事件は社会に大きな衝撃を与えた。逮捕された加藤智大容疑者は25歳の派遣労働者で、人材派遣会社である日研総業に登録し、トヨタ系の自動車工場で働いていた。
容疑者は事件の以前から当日に至るまで、携帯の掲示板に心境を書き込んでいて、その中には家庭環境や仕事への不満と共に、「彼女がいない、この一点で人生崩壊」といった自分がモテナイ、女友達もいないという境遇に言及している。自分の容姿への劣等感も書き込まれていた。

これらのことが事件の動機にどれだけ関係しているのか、これから解明されるだろうが、若い男性にとって恋人やガールフレンドが一人もいないというのは辛いことだ。この点はよ~く分かる。
一昔前までだってモテナイ男性もいたが、それでも年頃になれば大半は結婚して家庭を持てた。つまり最低一人(一人で十分だが)のパートナーは得ることができた。
真面目にコツコツ働いていれば、嫁さんを貰えて、定年まで大過なく勤め上げることができたのだ。
「稼ぎに追いつく貧乏無し」という諺や、「先々の時計になれや小商人(こあきうど)」という川柳は、「勤勉」こそが美徳と言うかつてのパラダイムの反映である。
しかし、今や「勤勉」だけでは世渡りができない、結婚も約束されない時代になってしまった。

国立社会保障人口問題研究所というところが、5年に1回結婚と出産に関する全国調査というのを実施しているが、直近の調査は2005年6月に行われた。
18歳から34歳までの未婚の男女を対象にした調査結果だが、いくつか興味深い調査結果が示されているが、ここでは男性の調査結果を紹介する。

先ず、1年以内に結婚したい又は理想的な相手が見つかれば結婚したいとした割合は、次の通り。
自営業     60.5%
正社員     56.3
派遣・嘱託   41.0
無職・家事   34.6
パート・アルバイト 29.5
男性として結婚したくないという人は少ないだろう。職業によって結婚願望に差があるのは、実現性を加味した上での回答ではなかろうか。
派遣やアルバイトでは、経済的にも結婚が難しいという現実の反映だと思われる。

結婚に利点があると答えた男性も、差は縮まっているが同様の傾向が見られる。
自営業     72・0%
正社員     65.0
派遣・嘱託   62.1
無職・家事   54.5
パート・アルバイト 53.2
結婚感や結婚願望にも、就業状況による影響は如実に出ている。

結婚したいと思う交際相手がいる男性は20.5%で、一方異性の交際相手がいないと答えた男性は52.2%と半数を超える。

次に年齢別の性体験の有無だが、無いと答えた男性の割合は次の通り。
18-19歳  60.7%
20-24   33.6
25-29   23.2
30-34   24.3
数値で見る限りでは、24歳まで性体験の無い男性の殆んどは、適齢期と言われる25-34歳の間も経験しないまま過ぎていることが窺がわれる。
未婚の男性をめぐる現在の環境は、非常に厳しいと言わざるを得ない。

異性の交際相手もいないし結婚の希望も持てないとしたら、男としてこれほど辛いことはないだろう。
秋葉原の通り魔事件の動機にこの問題がどれほど係わっているかは不明だが、特に若い頃は、男というのは性的欲求が時に暴力として爆発することがある。よく犯罪の動機に「ムシャクシャしていたから」というのがあるが、その内のある部分は性的不満があるのではなかろうか。理由もなく若い女性が暴力を振るわれたり、傷つけられたりする事件も、背景の一部にはこの問題が横たわっているように思う。
オタクと呼ばれるバーチャルな世界に異性を求めるのも、現実の困難さからの逃避ではなかろうかと思ってしまう。
努力すればモテル、女性が寄ってくるというわけには行かない。元々が内気で自分から女性に接することができない、例えば私のようなタイプの男というのは、おいそれと性格は変えられない。

派遣労働の実態などは政治の問題として解決できる面があるし、就業状況が改善されれば、結婚できる人が増えるのは間違いないだろう。しかし恋愛や結婚というのは、それが全てではない。
かと言って、「男は所帯を持って一人前」とか「女の幸福は結婚」などという、昔のパラダイムに戻すことは不可能だ。
切実な問題でありながら、正解が見出せない、極めて難しい課題が突きつけられている。

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