算数ができない財務官僚
中央省庁の役人がタクシーを利用した際に、運転手から金品という名のワイロを受け取っていた問題が6月5日明らかになった。内訳は財務省383人、それ以外の12省庁で合計114人がワイロを受け取っていた勘定になる。
今回公表されたのはあくまで内部調査であり、自己申告によるものだ。見方によっては公表した方はまだ正直だと言える。
刑事告発を受けるような本当に悪質な事例は隠されていると考えたほうが良い。実態はその数倍であろうし、該当者ゼロと発表している省庁はハッキリ言って嘘つきである。
この構図は手に取るように分かる。仕事で深夜0時半を過ぎると、タクシー券の利用ができる。そんな時間に残っている人は稀だろうから、誰もチェックのしようがない。そうなると、残業で遅くなればタクシーで帰宅ということになる。誰だって満員電車で帰るよりは、タクシーでユッタリ帰りたい。
本当なら10時に終わるとしても、ダラダラ仕事をして時間になるのを待てば良い。
タクシーの中で一眠りしようとすると、自宅の場所を心得ている運転手に頼むことになる。だから運転手をご指名することになる。やがて長距離の常連客となり、金品の接待を受けることになる。
タクシー券は客が金額を書き込むので、2-3千円多めに書いておいて、その文を現金でバックして貰うこともできる。
かくして役人とタクシー会社はお互いにハッピー、損をするのは何も知らないで税金を払っている国民だけ。
新聞報道を見ると、ある財務省の係長は年間およそ150回、一回につき2-3千円のワイロを受け取っていたという。5年間で約150万円にのぼる。
驚くのはこの先で、この役人は2万5千円のタクシー代をタクシー券で支払っていた。1年間で150回金品を受け取っていたとすれば、この人は毎晩のようにタクシーでご帰宅していたのだろう。
仮に申告通り年間150回として、1回に2万5千円使っていれば、
25,000X150=3,750,000
つまり毎年400万円近いタクシー代を一人で使っていたことになる。5年間なら2千万円(ワオ!)。
自宅がどこにあるのか公表されていないが、霞ヶ関から2万5千円というと、かなりの遠距離だ。ほぼ毎日のように深夜まで残業しているとなれば、近傍の公務員宿舎を利用して貰うか、それも無理ならビジネスホテルに宿泊して貰った方がよほど安上がりだ。
こんな計算は小学生でもできる。
国の予算を管理している財務省という組織は、この程度の算数さえ出来ない人間が集まっているのだろうか。
先ずはタクシー券を廃止し、タクシー代は立て替え払いにすれば良い。これだけで、こうした不祥事は一掃される。
公務員が管理職でなければ、当然残業代も発生する。一時的ならともかく、慢性的に深夜まで毎日残業させているというのは、一体どういう労務管理をしているだろうか。
本当に仕事が忙しいのか、それとも連日の残業で能率が落ち、悪循環に陥っているのかを検証しているのだろうか。
仕事の仕方に工夫の余地がないのか、人員配置やワークシェアリングは最適なのか。いかに最小のコストで最大のアウトプットを得るか、財務省はそういう検討をしているのだろうか。
財務省は常に他の省庁や地方自治体に対してコストミニマムを要求している筈だが、お膝元がこのテイタラクでは話にならない。
自己には甘く他人は厳しく、これが財務官僚の本分だとしたら、呆れてモノも言えない。
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