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2008/06/27

一風変わった株主総会

Suruga現在株主総会のピークを迎えていますが、昨日少々変わった企業の株主総会が横浜であったので紹介します。
この会社は5期連続の増収増益でしかも前期は最高益、経常利益が資本金の1.4倍と業績好調、自己資本比率は43%と財務体質もしっかりとしていました。ではなぜ一風変わっているかというと、この企業が総会の2日前に東京地裁に民事再生手続き開始を申し立て、同日付けで監督命令を受けた会社だからです。
その会社名は「スルガコーポレーション」です。

同社は1996年から古いビルを購入したうえ、権利関係を整理して売却し、新たな建物の工事を請け負う「不動産ソリューション事業」を始め、業績を伸ばしてきました。 しかし2008年3月、物件居住者との立ち退き交渉を依頼していた共同都心住宅と光誉実業の社長らが弁護士法違反の容疑で逮捕された。
この光誉実業という会社は、警視庁が山口組系暴力団に関係していたと見ており、そのことからスルガコーポレーションと反社会的勢力との関係が報道され、銀行からの資金調達や不動産の売却が困難になったというわけです。

こうした案件は、以前当ブログで “「立ち退き」ビジネスは儲かりまっせ”の記事で紹介したように、かつては専ら暴力団が行っていました。しかし暴対法の施行後、こうしたシノギにも支障が出てきました。そこで外資系ハゲタカファンドや国内の不動産企業を前面に出して摘発から逃れ、自らは「裏方」に徹して資金を得ていたものと思われます。
早くいえば暴力団などが居座ったり、権利関係がややこしくて売却が困難な物件を安く買い叩き、ある手段を使って立ち退かせ、キレイにして高値で売るという実にリーズナブルな商売です。それだけに早く解決を図ろうと焦れば、どこかで裏の力を借りることになります。
スルガコーポレーションも、気が付いたら深みにはまっていたというのが真相でしょう。
法令違反を犯し、それが社会的に明らかになれば、企業はあっと言う間に存続の危機に立たされる見本となった事件でした。

今回の総会に集まった株主にとっては、大事な財産(株券)が紙くずになってしまうリスクが高いわけで、相当もめるだろうと予測して出かけたのですが、総会屋の姿もなく、意外に平穏な結果となりました。
先ず冒頭に創業者である岩田一雄会長から事件の簡単な経過と、民事再生開始に至った経緯が説明され、謝罪が行われました。
しかし岩田氏の説明は、事件によりマスコミ(読売と日経)によって間違った情報が流され、信用が失われたという内容であり、自らの関与や監督責任に一切言及しないものでした。私が受けた印象としては、むしろ会社側は被害者であるとの認識に立っているように見受けられ、この人はどこまで真剣に今日の事態を受け止めているのか疑問を感じました。
株主の質疑もこの点に集中しましたが、岩田会長は最後まで非を認めることを避けていました。

もう一つの問題は、好調な業績を背景に、前期はかなり高額な配当を約束していたのですが、民事再生に絡んで無配とすることを急遽決定し、剰余金処分の議題を撤回するとしたことです。つまり無配となってしまったわけで、株主としては踏んだり蹴ったりの結果となっています。
この点も何人かから発言がありましたが、外注への支払いも滞り債務不履行の状態にあるという理由で押し切られた格好に終わりました。
経営者の責任を追及する発言には会場から拍手が起きるなど、個人株主たちの不満は鬱積していたようですが、攻め方が単調であったように思えます。例えば、配当を決める議案を会社側が撤回したのですから、株主側として改めて「剰余金処分」に関する提案を緊急動議で提出するなどしていれば、もう少し揺さぶることが出来たかと思われます。

大半の株主総会というのは、事前に大株主の了解を取り付けた上で、社員や取引先とその従業員などの会社関係者を動員して、場合によってはフリーの株主は数名という総会も珍しくなく、質問や意見が全く出ないものが多いのです。
スルガコーポレーションの総会はその点、活発な意見は出されましたが決め手を欠き、最後は会社提案が全て承認され、約1時間半で終了となりました。
会社の再建への道はかなり厳しいと思われますが、株主としてはここで激しく追及し、企業の再建に支障があるようではいけないという気持ちが作用していたのでしょう。

暴力団が関係している企業というのは世の中に沢山あるわけで、たまたま表沙汰になったスルガコーポレーションが一罰百戒のターゲットになったというのが、真相ではないかと思います。

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