愚者は侮り賢者は学ぶ
中国・四川大地震で、四川省に次ぐ被害を受けた甘粛省の馮健身副省長が6月16日の会見で、岩手・宮城内陸地震について「(四川大地震ほど)死傷者が多くないことに注目している。地震予報、耐震建築、救急体制の面で差がある。レベルを上げ、住民の安全を守るために最大限努力したい」と述べた。
四川省での学校の倒壊に抗議する住民の映像がニュースで流れていたが、「災害は天災だが被害は人災」と書かれたプラカードが目に付いた。
中国の人々から見れば、人命第一を貫いている日本の救助、救援活動からも学ぶことが多いはずだ。
中国の故事に「殷鑑(いんかん)遠からず」という言葉があるが、こうした人々が多数を占めるようになれば、やがて中国も良い方向に向かうのではなかろうか。
阪神大震災の直後に台湾に行った時、現地の人々の多くが震災後の映像をTVで見て、日本人の行動が実に整然としていて感動したと言っていた。
被災は大変不幸なことだが、災害に合って初めて気付くことが多いのも、一面の事実だろう。
先日の当ブログの記事で、ハイウッド女優のシャロン・ストーンが四川大地震について「チベット弾圧の報い」という意味の発言をしたことを紹介したが、我が国でもブログや掲示板の一部に「ざまを見ろ」などと書いていた者がいた。
言うまでもないことだが、中国政府の失政やチベット弾圧と今回の地震発生とは何の関係もない。地震国であれば明日は我が身の問題である。
精神の貧困としか言い様がないし、同じ日本人として恥ずかしい。
中国で学校の校舎が倒壊し、多くの犠牲者を出したことに鑑み、日本政府も早速全国の小中学校の建物の耐震性調査を行った。その結果文科省の推計で、震度6強で倒壊する危険性が高い施設が、1万656棟に上ることが判明した。
最近ではどうか知らないが、かつて日本でも公共工事に手抜きが行われていたことは周知の事実だ。地震による学校の倒壊は、決して他人事ではない。
企業でもそうだが、他人の悪口ばかり言っているような社員に優秀な人間はいない。賢い人は、他人の失敗や欠点を自分の教訓として、長所は採り入れる。
これは国と国との関係でもいえることだ。
我が国の諺でいうなら、「人の振り見て我が振り直せ」である。
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