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2008/06/16

志らくさん、良かったです!「あした ~愛の名言集」

Shiraku先日当ブログで立川志らくのシネマ落語について批判的なことを書いたら、ご本人から「シネマ落語は駄目かもしれませんが、是非、6月の紀伊国屋の私の芝居「あした」を観てください。また評価が変わるはずです。」とのカキコミがあった。
ここで行かなきゃ男が廃る、止めてくれるなおっかさん、背中のタトゥが泣いているとばかり、6月14日紀伊国屋ホールへ。昼の「恐竜と隣人のポルカ」を見終えて渋谷から新宿へ移動という、変則ダブルヘッダーと相成った次第。

さて、「あした ~愛の名言集」は立川志らく劇団「下町ダニーローズ」の最新公演。
ポスターには、
脚色・演出:立川志らく
大林宣彦監督作品映画 「あした」より
原作:赤川次郎「午前0時の忘れもの」
とあり、赤川次郎の原作を大林宣彦監督が映画化し、それを志らくが芝居の舞台用に脚色し演出たものだ。原作も映画も観ていないのだが、志らくの脚本はかなりかけ離れた内容に仕上がっているものと想定される。
作者本人の解説でこう述べている。
「舞台を現代から昭和33年に変え、登場人物もキャラを喜劇的にし、志らくワールドとしての『あした』をつくりました。愛する大林宣彦監督の大事な映画を、狂った志らくがどこまで舞台で描けるか。オマージュであり、新作であり、そして芝居であり映画であり絵画であり落語でもあるという『あした』、堪能していただけたら幸いです。」

主なキャストは次の通り。
立川志らく:池之内勝
森口博子  :池之内歌子
須藤温子  :原田法子
細山田隆人 :大木貢
なべおさみ:金澤弥一郎
入江若葉  :金澤澄子
北原佐和子:森下美津子
柳家一琴  :笹山剛
酒井莉加  :綿貫ルミ
原武昭彦  :神様
入月謙一  :森下徹(宝玉)
柴山智加  :一ケ崎布子
宇賀神明広:永尾要司
岩間沙織  :小沢小百合
ロリィタ族  :朝倉恵
山田貴久  :笹山哲
山本良也  :船頭
寺尾由布樹 :高柳淳
橘ゆかり  :永尾厚子
竹川美子  :安田沙由利
中村康介  :唐木幻詩

場内に入ると既に幕は開いており、舞台には大きなセットが置かれている。渡し舟の船着場だが、実に見事なデザイン(舞台美術:佐藤さい子)で、先ずこれに感心した。このセットを見ただけで期待を抱かせ、この芝居が一幕ものであることを暗示している。
ストーリーは昭和33年に渡し舟の転覆事故があり、乗客一人が救助されるが、他の乗客6名と船頭が死亡する。一月後にこれを哀れと思った神様が、一日だけこの世に生き返らせ、愛する人と対面させるというもの。
全ての関係者がこの船着場に集まり、それぞれが再会を喜び会う中で、生前明らかにされなかった真実もまた露わにされてゆく。最初は家族同士はお互いバラバラであったのが、次第につながって行くようになる。そして約束された一日が終わり、死者は再びあの世に帰って行くのだが・・・。

作者の「狂った志らくが」という言葉とは裏腹に、芝居は極めてオーソドックスな展開を見せる。死者とその関係者6組の個別の物語が、やがて相互に関連し始め、群集劇へと発展してゆく。
親子、夫婦、恋人、師弟、親分子分、それぞれの愛憎劇が一つに収斂し、ラストシーンを迎えて行く。
全体をコミカルに仕立てながらホロリとさせる場面を差し挟み、そして古今東西の名言や映画の名セリフを随所にちりばめてゆく演出、実に見事だ。
脚本家、演出家としての志らくの力量を示すものだ。

出演者個々では演技のレベルに差が大きく、アンサンブルも完璧とはいえない。せっかく落語家が演出しているのに神様のキセルの使い方がなってないし、幇間はさっぱり幇間らしくなく、粗さも目立った。
しかしこの舞台では、演出家や出演者の芝居に対する情熱や意気込みが感じられ、そうした個々の欠点を吹き飛ばしていた。
芝居の最大の魅力は舞台の熱気であり、それがあるから名優の揃った大舞台でも、素人が演じる小劇場でも、観客は等しく感動するのである。

役者では、なべおさみの演技力、存在感には舌を巻いた。正直、これ程上手い人とは思ってもみなかった。
原武昭彦がヌーボーとした良い味を出していて、志らくとの掛け合いは場内を沸かせていた。
女優陣では森口博子が堅実な役作りを見せ、北原佐和子が舞台に華を添え、ロリィタ族の熱演が光る。

志らくさん、とても良かったですよ。

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コメント

ありがとうございました。たいこもちがたいこもちに見えない・・・相当苦労しました。最後までこの場面は戦争でした。
 役者の技量は未熟な人がおおかったですが、とにかくテクニックではなく心でぶつかりました。
 上手い芝居では人を感動させられないですから。
 感謝しております。

立川志らく様
再度のコメント、有難うございます。
舞台そのものも良かったのですが、物語の根底人間賛歌があり、人々に対する暖かい視線が感じられます。
それにしても忙しい高座の合間をぬって、ああした芝居を作り上げていく意欲に、頭が下がります。
また次回公演の機会がありましたら、拝見したいと思います。

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