中山発言と犯罪者心理
戦後NHKの人気ラジオ番組に「日曜娯楽版」というのがあり、こんなコントが放送されていた。
―男「大臣!また列車妨害です」。―大臣「共産党の仕業だな」。
―男「大臣!台風が来るんだそうです」。―大臣「う~ん、共産党め」。
昭和20年代、悪いことは全て共産党のせいにされたのを諷刺したものだ。
国土交通大臣(国交相)を辞任した中山成彬氏の発言を聞いて、ふと当時のコントを思い出した。
中山成彬氏によれば、親殺しや子殺しなど世の中の悪いことは全て日教組のせいであり、だから解体し、ぶっ壊すことに自分は火の玉となると発言している。
先日の「日教組の強いところは学力が低い」との発言に対しては、「撤回してない。調べてもらえば分かる。調べてもらいたい。」と答えている。
自分が断言しておいて、他人に調べて貰いたいはないだろう。公言した以上は、先ず中山氏本人に証明責任があるのだ。
何の根拠も示すことなく、とにかく日教組が悪いと呪文のように繰り返すなら、正常な神経とは言えまい。
凶悪犯罪をおこなった人間の犯行動機あるいは理由としてしばしば語られるのは、自分がこうなったのは全て「アイツのせい」であり、「アイツ」さえいなくなれば事態が好転すると思い込むという傾向だ。
その「アイツ」というのが時に家族だったり友人だったり仲間だったり、場合によっては世の中全体だったりする。
自分が置かれている状況やそこに至った原因への分析も無く、いきなり「アイツが悪いから」と妄想し、その「アイツ」を世の中から抹殺しようとする。思い込みと被害妄想の世界である。
なかなか常人には理解し難い心理ではある。
自分にとって不都合なもの、目障りなものを抹殺するという心理、これが個人のレベルであれば犯罪に結びつくのだが、権力者となるとそれにとどまらない。
ユダヤ人を抹殺したヒットラー、政敵を抹殺したスターリン、今ならさしずめ北朝鮮の金正日あたりが該当するのだろう。
この手の人物が国家権力を握るとどうなるか、想像すると恐ろしくなる。
「空があんなに青いのも 電信柱が高いのも 郵便ポストが赤いのも みんなあたしが悪いのよ」。
むしろ中山成彬氏には、こうした心境になって欲しいものだ。
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