納得できない「大分の教員汚職事件」の幕引き
教育界をゆるがした大分の教員汚職事件に関連して、大分県教育委員会は2007年採用試験の点数改ざんで不正合格した21人のうち6人の採用取り消しを決め、14人の自主退職を認めた。
一部に本人が知らない不正での免職は気の毒という論調もあるが、いわゆる裏口入学の場合、受験生本人が知らなくとも入学は取り消されるので、今回の処分は当然の措置といえよう。
これでこの事件は、教員採用試験でわいろの授受があったとして、大分県教育委員会の元教育審議監二宮政人被告(61)ら2人が収賄罪で、元義務教育課参事矢野哲郎被告(52)と元小学校校長ら3人が贈賄罪で起訴され、教員の昇任試験でも不正があったとして贈賄容疑で元教頭2人が在宅起訴されて、幕引きとなる模様だ。
これでは事件の根本解決には程遠い。
大分県では小中学校の教員採用試験では事前に採用枠が決められており、縁故のある受験者が優先的に採用されていた。県会議員や教育委員会、労組などがそれぞれ枠を持っていて、その枠内で採用されるように試験点数の改ざんが行われていた。
つまり構造的な不正事件である。
今回はいうなれば教育委員会の実務者だけが罪に問われてもので、彼らに命令あるいは指示を出した者は一切責任を問われていない。つまり巨悪は逃げ切り、下っ端だけが裁かれるのだ。
教員採用試験の不正についても、なぜ2007年だけが対象とされたのだろうか。
報道によれば、2006年以前の採点用紙が処分され、点数の改ざんも証拠が残っていないとされているが、そんなバカなことは無い。事件の発覚と同時に、慌てて書類を破棄又は焼却し、データは消去した、これが真相だろう。それも全国各地で行われていたものと推定される。
なぜこう断言するかというと、過去に同じような事件があったからだ。
それは2004-2005年にかけて起きた北海道道警などの警察による不正支出(裏金)事件である。
その際には、全国の警察で大量の会計文書が「誤って廃棄」され、しかもその廃棄された文書というのは、捜査費証拠書類、旅行命令簿、物品取得書などの裏金作りに関係ある証拠文書ばかりだった。
誰がどう見ても証拠隠滅を図ったことは明らかだが、この時も事件そのものがウヤムヤにされた。
大分の教育委員会は、これを「学習」したのだろう。
当ブログでは以前のエントリーで、「今頃は全国で、教員採用に関する書類の破棄が行われ、証拠隠滅を図っているものと推測される。」と書いたが、正に図星だったではなかろうか。
今回の事件が公教育の場で起きただけに、全てに事実を明らかにし、係わった人物全員に厳しい処罰を下すべきだった。
悪い事をすれば厳しく罰せられるということを子どもたちに教える絶好の機会を逃し、悪いことをしてもバレなければ済むという最悪の見本を教育界に残してしまった。
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