【金正日重病説】喜ぶにはまだ早い
北朝鮮・金正日総書記が重病に陥っているのではないかとの観測が流され、久々の明るいニュースとして受け止めた向きも多いだろう。報道が事実としても、これが我が国の外交にとって朗報となるかどうか、予断を許さない。
金正日が万一の時、かの国の後継者は一体どうなり、国の体制がどう変わるのか、全く読めないからだ。後継問題のカギを握るとされているのが軍部、側近、家族だと言われているが、その軍部にしても一枚岩ではない。金正日がいなくなれば、軍部の中の主導権争いも起きる可能性もある。
後継者について最も大きな発言力を持っているとされるのが金玉(キム・オク)だ。米国の情報機関の一部は、金正日の健康が悪化した場合、金正日の個人秘書であると同時に事実上の夫人として実権を行使している金玉が、自身が金正日の代理人になる可能性が高いと見ている。
下品な表現を許してもらえば、金正日は金玉(キム・オク)に金玉を握られているということだ。
金正日亡き後の後継者がどうなるかだが、今の所の予想としては、
①金正日ファミリーの誰か
②No.2の金泳南のショートリリーフ
③軍の幹部
だが、軍が権力を掌握した場合一気に軍事独裁政権に進むかもしれない。
それでもスムースな政権交代が行われれば、それは未だ良い方だろう。
もう一方、後継問題の混乱から内乱や内戦状態に陥ることだ。これが最悪のシナリオとなる。大量の難民が隣国の中国やロシアに押し寄せれば、両国は自衛を口実として内乱に介入してくることも予想される。
日本も例外ではない。海を渡って大量の北朝鮮難民が上陸を迫ってくることも考えられる。人道上、ある程度の難民は受け入れざるを得ない。そうした覚悟と準備が我が国にも求められるだろう。
金正日が重病と聞いて、「シメタ」と思った方もいるだろうが、どうやら問題はそう単純ではないらしい。
以前から拉致被害者家族会やその支援者の救う会の人々が、金正日政権の打倒無くして拉致問題の解決は無いと主張していたが、果たしてそうなのだろうか。
現在の金正日政権はともかくも拉致の事実を認め、一部の人々を帰国させた。
政権交代により、そうした事実さえも否定され、拉致問題が今より更に膠着化することも十分考えられる。
既存の政権を打倒すればすべてうまく行くのかといえば、アフガニスタンやイラクの現状を見れば分かるだろう。
他国、特に隣国の政変や内乱は、必ずしも日本にとってハッピーな結果になるとは限らないのだ。
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