「目クソ鼻クソ」の橋下知事発言
19日に大阪府の橋下徹知事は、兵庫県伊丹市で開かれた陸上自衛隊の記念式典の祝辞の中で、「人の悪口ばかり言ってる朝日新聞のような大人が増えれば、日本はだめになる」と発言しました。
橋下知事は発言の真意について記者団に、10月3日付の朝日朝刊に掲載された「弁護士資格を返上しては」と題する社説への批判だと説明し、「僕は権力者だから徹底批判してもらって構わないが、一線を越えたからかい半分の批判は批判ではない。僕が資格を返上したら、(事務所の)従業員はどうなるのかというイマジネーションはあるのか」と述べました。
朝日の社説も品性に欠けますが、こうした私怨を晴らすような発言を式典の祝辞の場で行う橋下徹も、相も変わらぬ常識ハズレというところです。
こういうのを目クソ鼻クソを笑うと言います。
特に自分に対する批判によって「(事務所の)従業員はどうなるのかというイマジネーションはあるのか」との発言は噴飯ものです。それなら橋下が懲戒請求を呼びかけた相手弁護士やその事務所職員だのに対して、彼はどのようなイマジネーションを持っていたのか、是非訊きたいものです。
タレント時代から大阪府知事に至る橋下徹の発言は、ほぼ一貫して自分がどう考えるかが中心であり、その結果がどのような影響を及ぼし、相手をどれだけ傷つけるのかなどお構いなしです。恐らくこの人は、一人称でしかものを考えられないのでしょう。
光市の母子殺害事件弁護団の弁護活動に対しては、私も批判を持っています。私がもし弁護士だったら、ああした弁護方針は採りません。しかしそれはあくまで方法論であって、懲戒請求を求めるような性質のものではない。
橋下徹は弁護士ですから、もしそれ程に母子殺害事件に対して熱意と確固たる主張を持っていたなら、彼が弁護活動を志願しても良かったのではないでしょうか。
懲戒請求にしても自分は何も行動を起こさず、TV視聴者をけしかけるだけでした。
広島地裁が判決文で「主張は弁護士の使命・職責を理解していない失当なもの」と断じたのは、当然のことと言えます。
今回の判決を受けて、橋下知事は「私の法解釈が誤っていた。表現の自由の範囲を逸脱していた」と謝罪しましたが、あれは一体誰に対して謝ったのでしょう。
弁護士資格の返上はともかく、公人としての一定のケジメは必要でしょうね。
こういう身勝手な性格の人間は、「人の上」に立つべきではありません。ではどこが良いでしょう。
名は体を現すで、「橋の下」かな。
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朝日新聞から対極にある産経新聞に乗り換えて3カ月が過ぎた。
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非常に読みやすくなった分、朝日のように突っ込むページが少なくなった。
今話題の橋下知事が朝日とバトルするきっかけとなった「弁護士バッチ返上社説」も読んでいない。
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