「ボッタクリ」医療保険にご注意!
午前から昼過ぎにかけて、TVのワイドショーの宣伝で目立つのが医療保険と女性用カツラのコマーシャルだ。どちらも同じ「脅迫産業」で、かたや怪我や病気で入院したら家計が大変になりますよという脅しであり、こなたは髪が薄くなったらみっともなくて表を歩けませんよという脅しだ。考えてみればあれだけ大量のCMを流せるのだから、あの業界はよほど儲かっているのだろう。
かく言う私も医療保険に入っている。20代から加入していて、当時は日本団体生命という会社だったが、2000年に経営危機になってアクサ生命に吸収された。従って今はアクサ生命の医療保険に入っていることになる。長い間大きな病気にかかることもなく、保険料だけ払っていたのだが、保険金などというものは貰わないのが一番幸せなんだからと鷹揚に構えていた。
数年前に恥ずかしながら「痔」の手術をして、7日間入院した。退院後、早速アクサ生命に電話して保険金の申請書を送るよう依頼したところ、次のような答が返ってきた。
(1)この医療保険は入院が8日間以上となっており、7日間では入院給付の対象にならない。
(2)手術の内容が保険の対象外なので、手術保険金は支払えない。
つまりゼロ回答というわけだ。
入院日数の件は改めて契約書を確認したら確かに8日間以上となっていた。なにせ保険に入ったのが数十年前のことだから、すっかり忘れていた。迂闊と言われりゃその通りで、これは諦めるしかない。
しかし手術保険金の方は納得がいかない。殆んどの手術はカバーされているという認識だったので電話で食い下がったが、対象外の一点ばりで、こちらも諦めるしかなかった。
その当時、住友生命の一時払い養老保険に入っていたが、そちらに特約で入院保険を付保していたことを思い出した。契約期限ギリギリだったが電話をして確認したところ、
(1)入院日数が2日間以上なので、5千円/日x6日間分の入院保険を支払う。
(2)手術内容も対象に含まれるので、保険金5万円を支払う。
との答で、手続きをとって保険金を受け取った。
住友生命の特約は、主契約の養老保険に僅かな追加金額で医療保険を付保したものだ。
一方アクサ生命の方は医療保険として加入し、毎月高額の保険料を支払っている。それがイザという時にサッパリ役に立たないということは、一体どういうことなのだろうか。
こういうのを世間では「ヤラズ、ブッタクリ」と言う。これなら儲かるはずだ。
最近は医療技術が進歩したのと、入院を短縮化させるという厚生労働省の方針で、大きな手術や慢性疾患でも無ければ入院は1週間程度に抑えられている。入院日数が8日間以上などいう医療保険は元々が役に立たないのだ。
私の場合、年間73560円の保険料を支払っているが、そうなると毎年15日間以上入院し続けないと元が取れない計算になる。よく考えれば、そんなに毎年大病を患っていたら、保険金を受け取る前に死んでしまう。
ここに至って医療保険のバカバカしさに目が醒め、ちょうど契約期限が近付いていたので更新せず、ここで打ち切ることにした。
全ての医療保険が「ボッタクリ」とは言わないが、加入する場合は契約内容をしっかり確認した方が良い。私のササヤカナ失敗がお役に立てれば幸いである。
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こんばんは。
住友生命の「一時払い養老保険」は、私も昔加入しておりました。契約者配当金が多くてかなり貯蓄性の高い保険商品でした。貯蓄目的だった私は疾病特約を付加しておりませんでしたけど、本文より給付金の条件の良さに驚きましたよ!入院2日目から給付されるとは・・・。(@_@;)
最近の生命保険はどんどん内容が複雑になっているようで、なかなか理解できませんが、保険に加入するなら単純な保険が一番だと思っています。医療技術の進歩による入院短縮傾向より、何とかしてボッタくってやろう~と、保険会社も知恵を絞ってるんでしょうね。
それにしても、アクサはひどい!(;;;´Д`)ゝ
投稿: うさぎ | 2008/10/26 01:02
うさぎさん
コメント有難うございます。
保険料は取るが、保険金の支払いを渋るというのは、国民年金だけではありません。保険そのものの体質なのかも知れません。
保険は当てにならない、株や債権はリスクが高い、そうなると預金だけしか頼りにならない、そうした時代になって来たのでしょうか。
投稿: home-9(ほめく) | 2008/10/26 08:30
本当に大変な時代になりましたね。これを一生に一度のチャンスと言い切っている人が羨ましいあまりです。
投稿: うさぎ | 2008/10/29 16:40
うさぎさん
日本の平均株価は戦後からバブル絶頂期までは長期的に見れば一貫して上昇していました。株は長期保有さえすれば必ず儲かるという、今では夢のような話だったわけです。それが国民の財産形成と生活の安定にも役立ったし、また企業の資金調達にも寄与して、戦後の日本の資本主義の発展を支えてきました。経済発展が国民全体の生活を向上させていた、極めて幸せな時期だったと言えるでしょう。もうそうした時代は完全に終結し、これからはゼロサムの社会、つまり誰かが得すれば、その反対に誰かが損するという社会に入ったのだと思います。積極的な資金運用をしようとすれば、そうした覚悟が求められる、厳しい時代になりました。
投稿: home-9(ほめく) | 2008/10/29 22:28