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2008/10/10

マーク・パドモア「冬の旅」@トッパンホール

Photoここの所めっきりとゲイジュツづいてしまって、昨日10月9日はトッパンホール主催公演であるシリーズ【歌曲(リート)の森~詩と音楽~】第1篇という香しい会に行ってきました。実は11月の行われる、イアン・ボストリッジのコンサートのチケットを申し込んだら既に完売で、3回シリーズのセット券なら残っていますという答えでした。止むを得ずセット券を購入して昨日の公演を聴きに行ったとうわけです。
トッパンホールは初めてですが、400席の小じんまりとしたホールで、声楽や室内楽用の劇場なのでしょう。内装は木質仕上げでとてもおちついた雰囲気で、音響も大変宜しい。

当日のプログラムは次の通りです。
歌曲集「冬の旅」D911 全曲
曲:シューベルト
詩:ヴィルヘルム・ミュラー
マーク・パドモア(テノール)
イモジェン・クーパー(ピアノ)

シューベルトの「冬の旅」はドイツ・リートを代表する曲で、クラシックに馴染みの薄い方でも、第5曲「菩提樹」はご存知でしょう。
私たちが習った中学の教科書では
“泉にそいて繁る菩提樹 ・・・”
の歌詞でした。親友の父親はドイツ語が得意で、気分がのると
“Am Brunen vor dem Tore ・・・”
と原語で歌っていました。

「冬の旅」はシューベルトが1827年に作曲し、翌年に彼は亡くなっています。そのせいか、この曲には「死」の影がつきまとっているという印象を受けます。第二次大戦の末期、応召されたドイツの学生たちが、前夜「冬の旅」のレコードを聴き、翌日に出征して戦火に散っていったというエピソードが残されていますが、確かに頷けます。
特に第1曲の「おやすみ Gute Nacht」は名曲中の名曲で、ピアノの前奏が聞えてくると、そこはもう失意の青年が街を出てさまよい歩くという「冬の旅」の世界です。スタートの曲ですが全曲を暗示していて、御用とお急ぎの方は、是非この「おやすみ」だけでも聴いてみてください。

さてテノールのマーク・パドモアですが、写真ではもっと大男を想像していましたが、意外に小柄でスリムな方でした。
歌いはじめると、どこからあんな良い声が出るのだろうと溜息が出るほどの美声で、やっぱりナマで聴くと違うなと舌を巻きました。1曲ごとに曲想が変わるのですが、それを休憩無しに一気に歌い上げました。
突き抜けるような明るい歌声は、深く抑制された歌手の録音を聴きなれているとやや異質な感じを受けますが、この歌の主人公は青年ですから、こういう解釈もあるのでしょう。
ただフィッシャー=ディースカウ盤と比べると、胸に迫ってくるものが弱いのかなというのが、私の印象です。
それと座席のせいかも知れませんが、ピアノの音が大きく、一部に歌声が聞き取り難い部分がありました。一考を要すると思います。

なお入場時に配られる公演パンフレットがとても良く出来ていました。全24ページで曲目や演奏者の解説、全曲の歌詞と日本語の対訳がついていて、大変親切です。
他のコンサートでも、これ位のプログラムが配られると良いのですが。

話はガラっと変わりますが、先ほど立川志の輔の11月に行われる独演会、今日10時に発売され、時報と同時に申し込みボタンを押したら既に売り切れでした。これってどういうことでしょうね。
どなたか「裏技」を知っていたら、ご伝授ください。お願いします。

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コメント

パドモアは円熟期にあるティナーと思います。「冬の旅」で青年の深刻さをどう歌うのか興味津々。ブログを拝見してそのイメージをつかむことができました。
比較対照のディースカウ,私も聞きますが,晩年の CD ではやや熟れすぎの感じです。(青年かくありやという)

投稿: *o*care' | 2008/10/18 06:56

*o*care'様
コメント有難うございます。
ディースカウなどバリトン歌手が歌う「冬の旅」は、彷徨う青年を客観的に見る、あるいは若かりし頃の思い出として振り返っている、そういう視点を感じます。
対してパドモアの歌唱は、現在進行形の青年の姿を歌っているように感じました。
同じ曲でも歌唱が変わると随分と違った印象になるなというのが、私の感想でした。

投稿: home-9(ほめく) | 2008/10/18 10:38

初めまして。最近ようやくインターネットを見る余裕が出てきまして、2008年のパドモアさんの「冬の旅」がこんなに反響を呼んでいたと今頃知りました(o^-^o)。2000年バッハイヤー、2001年モンテヴェルディ「オルフェオ」と立て続けに生のステージを聴いて、すっかり彼の虜になり、ファン歴10年目に突入します。ここ2,3年でようやくソロCDも出だしてリートの世界でも認められるようになってきて良かったです。「冬の旅」はトッパンホールと武蔵野の2回とも聴きましたが、初日のT.H.の方は少し固かったです。「お休み」の伴奏の和音ミスがあり、NHKの録音も入ってラジオでも放送ありましたが、ちょっと残念でした(;ω;)。京都の「ヨハネ受難曲」公演で顔を覚えててくれたので、応援メッセージやのど飴を渡しました。次の日の武蔵野公演では、本当にリラックスして、携帯が鳴ることもなくピアノも良く、パドモア節全開で、アンコールに「夜と夢」も歌ってくれました。入場料も格安で、トッパンホールであぶれた人など、お客さん層も慎ましやかな感じで、だからこそよけいマークは心をこめていたようにも思え、大変暖かな雰囲気にホールは包まれました。「のど飴美味しかったよ」て言ってくれて、私のローカルな演奏会のチラシも、たまたまシューベルトだったこともあり、天使に囲まれたシューベルトの絵をBeautiful!と言って持って帰ってくれました。パドモアさんてホントいい人ですo(*^▽^*)o。

投稿: 笹山 晶子 | 2010/01/31 10:11

笹山晶子さま
専門的な内容のコメント有難うございます。
私の親記事など恥ずかしくなりますが、素人が生まれて初めてドイツリートの演奏を聴いたという新鮮さだけが取り得でしょうか。
彼の人柄の温かさはホールの舞台でも感じられました。

投稿: home-9(ほめく) | 2010/02/02 11:53

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