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2008/11/02

「田母神空幕の更迭」軍人の小児性

Tamogami芥川龍之介の作品「侏儒の言葉」の中に「小児」と題する次の一節があります。
「軍人は小児に近いものである。」「わたしには実際不思議である。なぜ軍人は酒にも酔わずに、勲章を下げて歩かれるのであろう?」
軍人嫌いの龍之介らしい表現ではありますが、そうした一面はあるのでしょう。
航空幕僚長を更迭された田母神俊雄氏の論文の大要なるものを見ると、確かにそうした「小児性」を感じます。とても「論文」に値しないような粗雑な論理を展開していて、苦笑するような内容です。

ドイツでもナチスのユダヤ人迫害は絵空事だったとか、アウシュビッツ強制収容所はデッチ上げだと主張する人もいるわけで、人間それぞれに考え方の違いはあります。しかしドイツの政府高官がそうした発言をすることはありません。
田母神氏はインタビューに答えて、「以前からの持論」と説明していたようですが、自分の立場を考慮することなく個人の意見が自由に表明できるなら、これほど楽しいことは無いでしょう。でも大人はそうしません。
サラリーマン当時を振り返っても、思ったことの1割も口にできなかったのですが、殆んどの方がそうでしょう。今書いているブログでも、匿名とはいえ現役時代には公表できなかったでしょう。勿論、このブログも持論を100%書いているわけではありません。世間に公にする以上、ある程度は表現を自制せざるを得ないこともあります。ましてや政府高官においては・・・、です。

田母神俊雄氏は4月に行われた記者会見で、イラク派遣部隊の多国籍軍兵士輸送に関して名古屋高裁が出した違憲判断について、人気タレントのギャグを引用して「そんなの関係ねえ」と発言したことでも知られています。
自分にとって都合の悪いことは、それが司法の判断であっても「関係ねえ」と無視する、これも駄々っ子と同じ幼児性の表れでしょうが、自衛隊幹部としては極めて危険な性向です。
こういう人物に武器を持たせたり、部隊の指揮権を与えていると、それこそ軍事クーデターでも起こしかねない、正に「何とかに刃物」です。
そう考えれば、実害が起こる前に芽が摘めたのは不幸中の幸いだったかも知れません。

田母神氏論文は、ホテル・マンション経営のアパグループ(本社・東京都港区)の懸賞論文に応募し、賞金300万円の最優秀賞を受賞したものです。
懸賞論文を主催したアパグループの代表は、小松基地金沢友の会会長で、第六航空団司令時代から田母神氏とつながりがあったと見られています。9年前には、田母神氏とこの代表がアパグループの情報誌で対談して、「国家が悪い、日本の国が悪いという戦後の教育が行きすぎている」と発言をしていました。
そうして見ると、この論文の授賞は阿吽の呼吸、出来レースだったということでしょう。

中山成彬議員と同様、田母神俊雄・前航空幕僚長も一種の「自爆テロ」なのでしょうか。
アルカイダのテロも困りますが、こうした言論テロも迷惑です。

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コメント

先日は,マーク・パドモアに関するご高説とても感銘深く拝見致しました。

さて,今回は時の話題,自衛隊の元空幕長の発言ですね。

… 何でございましょ。問題の構図は,

マスコミを始め世の大多数のチビリアンコントロール論者は,自衛隊員は愛国心なんか持たなくてもいい,でも,有事の際はしっかり国を守って欲しい,というわけでしょう。
他方,現場の自衛隊員は,心の拠り所がないんじゃ身も持たないよ! って悲鳴を発してる訳でございましょ?

投稿: *o* care' | 2008/11/13 18:53

*o* care'様
コメント有難うございます。
過日のエントリーに過分のお褒めに与りお恥ずかしい限りです。
さて愛国心ですが、私は日本が大好きであり、日本は世界一の国だと思っています。キザな言い方を許して貰えば、国を愛するが故に日々こうした埒もない駄文を書き綴っているものです。
田母神氏の論文や言動は、愛国心とはかけ離れたものであると私は考えております。

投稿: home-9(ほめく) | 2008/11/14 07:09

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» ■ 自民では チェンジ不可能 いつまでも (東京タワー)/■ 知らぬ顔 仏も呆れ 天罰を (裏通りのパーチク) №5820〜5828 [アルデバランの 夢の星]
色々引用させていただきました。どうぞ、よろしくお願いします。 [続きを読む]

受信: 2008/11/21 09:20

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