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2008/11/11

「名ばかり真打」量産でいいの?

今年両協会合わせて新真打が8名誕生した。ここ数年、多数の真打が同時昇進することが常態化している。それ自体はおめでたいことではあるが、果たして手放しで喜んで良いのだろうか。文句なしに実力の備わった人もいれば、素人の私から見ても首を傾げる人が真打になっているのも事実である。
「真打」は辞書で引くと、こう書かれている。
(1)寄席などでその日の最後に出演してすぐれた芸を演ずる人。最上級格の人。真(しん)。
(2)落語家などの最高の資格。興行の主任をつとめることができる。現在は上方の落語家には用いない。
つまり東京の落語家としては最高位であり、トリをつとめることが出来る噺家ということになる。

処が実際はどうかといえば、二ツ目を10年前後経験した落語家は、ほぼ全員が真打になっているというのが実態だ。
落語家の場合、師匠の許可さえあれば誰でも入門は可能で、少しすると前座となる。前座を数年勤めると多くは二ツ目になるので、今の制度であれば入門して十数年経てば、ほぼ誰もが真打になれる。例外はあるが、年功序列のエスカレーター方式と言ってよい。

かつては、真打になるのは持ちネタがいくつ以上有るとか、人情噺ができるとかという条件があり、一定の基準をクリアーしないと真打になれなかった。
過去の話だけではない。立川談春の「赤めだか」を読まれた読者はお分かりの通り、立川流では今でも昇進試験があり、合格しないと真打になれない。
この真打の選考をめぐっては、過去に落語協会内部に意見の対立があり、三遊亭圓生や立川談志の協会脱退もこの真打の選考がきっかけとなった。
これに懲りて、争いの起きぬよう公平な年功序列制度にしたものと推測される。

落語協会も落語芸術協会も社団法人であり、その組織が真打と認定したということは、法人として品質保証したとも受け取れる。であれば、どこに出しても恥ずかしくない噺家にのみ、真打の称号を与えるべきではなかろうか。
最近の昇進披露口上で協会幹部は、「真打になったことは落語家のスタート」などと述べているが、それは世間の認識とは異なる。
最近の落語ブームで入門希望者が増えているそうだが、そうなると今後ますます真打が大量生産されることになる。
右を向いても左を見ても真打ばかりという「名ばかり真打」の増加が、果たして落語界の未来にとって幸いなことなのかどうか、考えるべき時期にきている。

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