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2008/12/22

「三三と菊志ん」(12/21)@お江戸日本橋亭

Sanza12月21日お江戸日本橋亭の「柳家三三と古今亭菊志ん」へ。数多い二人会の中でも、この会は非常に充実している会ではなかろうか。何より、ライバル同士が切磋琢磨する様子が好きだ。
今回は、双方相手方が「これぞ」と「意外な」ネタを1席ずつ選んで高座にかける趣向で、さてどんな演目が選ばれ、どんな出来になるか楽しみだった。

前座は柳亭市也で「道具屋」。昨日の落語会と同じ人で同じネタ。それでも前日の客はクスリともしなかったが、今日の客は結構笑っていた。雰囲気によって随分と変わるものだ。
こういう会の前座が、しばしば同じ顔ぶれになることを以前から疑問に思っていたが、どうやら使い易い(よく気が利く)前座が、どうしても指名され易いとのこと(三三の話)。これで疑問が氷解。

三三「死ぬなら今」
こちらを菊志んが意外な一席に選んだ模様。
商家の主が亡くなる時に遺言で棺桶に500両入れてくれるように頼むが、親類の者が惜しくなって贋金を入れてしまう。そこから地獄極楽で騒動が起きて・・・、死ぬなら今だ、というオチになる。
最近の世相やニュースを織り込んで喋る軽快なネタであるが、三三はこうした演目も器用にこなしていた。
この人の芸は本当に幅広く、このままだと大師匠の小さんや師匠の小三治をやがて凌駕していくのではなかろうか。スケールの大きい噺家に成長するのが楽しみだ。

菊志ん「転宅」
こちらは得意ネタだったようだ。
マクラで泰葉のことを話題にしていたが、最近噺家がこれをネタにする時は、なんだかとても嬉しそうだ。結局あの4兄弟姉妹は、皆駄目だったというわけだ。林家いっ平の三平襲名にも、辛口の評論をしていた。確かに襲名で人気を煽るやり方はあざとい。
間抜けな泥棒が良く描かれていたし、お菊に色気があり、良い出来だった。
菊志んが女形を演じると、師匠の円菊に似てくるのを初めて発見した。大看板の物真似も入れての大サービス。

~仲入り~
菊志ん「鼠穴」
一転して人情噺。
三三も言っていたが、意外なネタとして選んだようだが、どうしてどうして骨格のしっかりとした「鼠穴」で、菊志んの今年最高の収穫ではなかろうか。兄さんのセリフが時に訛ったり、いきなり標準語になったりするなど細部にキズがあったものの、全体としては緊張感のある良い高座だった。
菊志んの新しい面を見た気がする。

三三「にらみ返し」
出だしの「掛取」と同じ場面は良かったが、後半の「にらみ返し」に物足りなさを感じた。
このネタの眼目は「にらみ」が利くかどかで決まるが、三三は人相が良すぎて凄味がない。だから睨まれるだけで退散する掛取りたちの説得力が無いのだ。
八代目可楽が得意としていたが、今ならさしずめ橘家文左衛門か柳亭左龍あたりが適任かも知れない。

ガップリ四つに組んだ二人会、今回も充実した内容となった。
この度は、全体としては菊志んがやや優勢か。

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コメント

こんばんは。胡乱亭と申します。
はじめてコメさせていただきます。
硬軟さまざまな話題について、普段、僕などが漠然と考えていることを、的確な言葉にして解説して下さるので、いつも「ナルホド~」と感心しながら、楽しく拝読させていただいております。

今まで、ひっそりと読み逃げさせていただいていたのですが、「菊志ん」と聞いて、黙っておれなくなりました(笑)

彼の、明るくてスピード感のある高座が大好きで、二つ目の頃からずっと追っかけてきまして…
僕は前日の「東京マンスリー」という会に行ってきたのですが、ここでも泰葉ネタ、出てました。
まだしばらく使えそうですね。

ブレイクしそうで、今ひとつブレイクませんが(笑)、もっともっと面白くなりそうな気がしているので、これからも応援したい噺家さんの一人です。

胡乱亭様
コメント有難うございます。
菊志んは正統派古典の若手落語家として注目される一人ですし、着実に実力をつけています。
注文をつけるとしたら、高座からインテリ臭を消して、もっと馬鹿になった方が良いと思います。
後は、本人が本気で売れたいと思うかどうか、その辺りがブレークのポイントになるのでしょう。そこが三三とは対照的だし、見習うべき所ではないでしょうか。

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