民主に「派遣労働」を批判する資格なし(上)
現在、企業が派遣労働者を一方的に解雇する、いわゆる「派遣切り」が大きな社会問題となっています。かつては経営者というのは人員整理に手をつけることを恥とする風潮がありましたが、今はいとも簡単に従業員を切る時代となってしまいました。こうした風潮を生み出し、それを法律的に後押ししたのが「労働者派遣法」という法律です。
この法律の制定から現在に至る経緯を見てみましょう。
1986年7月1日:労働者派遣法施行
1999年12月1日:労働者派遣法改正
2004年3月1日:労働者派遣法改正
2006年3月1日:労働者派遣法改正
この法律が1986年に制定された最初の目的は、戦後「職業安定法」により間接的に労働者を雇用することが禁じられていましたが、いわゆる「手配師」による違法な派遣が行われてしました。これを規制して、派遣企業を大臣の許可制又は届出制にするというのが当初の趣旨でした。派遣の対象も特定の業務に限られていたのです。
処が1999年の改正によって当初の目的から外れ、港湾・建設・警備をのぞいてすべての業務に広げるという、派遣労働を対象業務限定から「原則自由化」へと変容させたのです。
目的は極めて明確で、企業側からの要請に基いたもので、必要な時だけ働かせ、仕事が減ったらいつでも自由に解雇できるという制度です。
自民党がこの改正を積極的に進めたのは、あくまでスポンサーの意向に沿ったものです。
この法律の改正は共産党を除く全政党、民主党や社民党などの野党も含めて賛成多数で可決、成立してしまいました。
民主党などは、この改正案の危険性に気がつかなかったのでしょうか。
そうは言わせません。
改正案を審議していた参議院労働・社会政策委員会での議論では、日本共産党の市田忠義委員により、次のような問題点が指摘されていました。
(1)派遣の対象業務の拡大により、大量の低賃金、無権利の労働者をつくりだされる、
(2)常用労働者の一部が派遣労働者へ置きかえられる。
(3)派遣労働者の保護にかかわる規定が不十分である。
などなどです。
つまり、企業側にとって都合の良いことは、裏返してみれば働く側にとって不都合だということです。
その後の派遣労働の実態を見れば、こうした指摘がほぼ的中していることが分かります。
自民党はこんな事は百も承知で立法化を図ったのですから、結果については当然予測していたでしょう。計算違いだったのは、これほど国民の怒りを買うとは思っていなかったことです。
問題は民主党や社民党などの野党であって、彼らは一体何を考えてこの法改正に賛成したのでしょうか。その点に頬被りをして、今になって急に批判しているのは、あまりに無責任ではないでしょうか。
昨日民主党など共同で、雇用4法案を参院で可決しましたが、この法案の内容はともかく、手法があまりに強引で筋が通りません。
というよりは、予め衆院で否決され廃案になることを見通して、この法案を出したものと思われます。
元々通す気などサラサラ無く、単なる言い訳だかアリバイ工作だかの手段としたことは明白です。
民主党などに言いたい。あなた方には「派遣労働」の問題点を批判する資格が無い。
もし見直しを主張したいなら自らの不明を恥じ、先ず面を洗って出直して来い。
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