「忠臣蔵」ならぬ「忠犬蔵」
3人が死傷した元厚生次官宅連続襲撃事件で、埼玉県警と警視庁は殺人と殺人未遂の疑いで、12月4日無職小泉毅容疑者を再逮捕するとともに、合同捜査本部を設置しました。
小泉毅容疑者は「両事件とも自分がやったことに間違いない」と容疑を認めています。自供の裏付けや物証も揃っており、事実関係は間違いないでしょうから、今後は動機の解明に捜査の焦点は移っていくものと思われます。
「今回の決起は、保健所に家族を殺されたあだ討ちだ」、小泉容疑者はこれまでの調べでこう主張し続けています。「家族」とは、34年前に保健所で処分された飼い犬のチロのことです。小泉容疑者は処分の日を「1974年4月5日の金曜日」と正確に覚えているそうで、この事への拘りを示しています。
これではまるで「忠臣蔵」ならぬ「忠犬蔵」ですね。
容疑者の動機や心理が理解できないという声が強い。しかし過去の重大事件を振りかえっても、犯人の動機や心理がどこまで解明されているでしょうか。裁判の冒頭陳述や判決の中で動機に言及され、一応モットもらしい理屈は付けられていますが、それが真実であるかは大いに疑問です。
飼い犬のために人を殺す筈がないとうのは、世間一般の人の感覚であって、容疑者の思い込みとは大きなズレがあって当然です。
この件では社会学者や心理学者、評論家などが様々な分析を行っていますが、気になることがいくつかあります。
事件の背景として「社会の閉塞感が根底にある」と述べていた人がいましたが、よく耳にする「社会の閉塞感」って一体どういう意味なのでしょう。これが調べても分からないんですね。
「閉塞」という言葉の意味を辞書で調べると、こうあります。
(1)閉じてふさぐこと。ある部分をふさいで他の部分との連絡を断つこと。
「港の出入り口を―する」「気孔を―するときは/福翁百話(諭吉)」
(2)は気象の用語なので省略。
「閉塞」とは本来はつながっているものが、ある部分をふさぐことによってつながりを絶つという事ですね。そうすると「閉塞感」というのは、つながりが絶たれたと感じるということでしょうか。
それは事実としてつながりが絶たれているのか、それとも個人が勝手につながりが絶たれていると思い込んでいるのか、この辺りが不明確です。それに「社会の」って何ですか。人間社会を指すのか、ある特定の社会を指すのか、今の社会という意味なのか、とにかく定義が不明確です。
もし「今の社会」を指すのであれば、過去のどの時代の社会と比べているのでしょうか。ますます分からない。
小泉容疑者についていえば、彼が自分で勝手に社会とのつながりを絶っていったように思えるのですが、違いますかね。
そして又も出てくる「心の闇」という言葉です。
「心の闇」って一体何ですか。心の中が分からないから「闇」と言っているのではないでしょうか。それなら分からないで済ませれば良い。
小泉容疑者の心境も理解できないけど、「時代の閉塞感」だの「心の闇」だのと不明確な言葉を使って、この事件の背景を説明しようとしている人の神経は、もっと分かりません。
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■NHK「篤姫」視聴率、自己最高の29・2%-なぜ高視聴率なのか?
こんにちは。篤姫、幕末ものはヒットしないというジンクスを破って高視聴率を獲得していますね。私は、この視聴率の背後には、多くの人たちの改革への期待があるのではないかと思います。現状の社会の閉塞感を打ち破る明治維新のような大改革を無意識のうちに求めているのではないかと思います。そうして、私は本当に閉塞感を打ち破る方法はあると思います。それは、明治時代の先達が西欧から本格的に導入することをしわすれた西洋型近代NPOを導入することだと思いす。良い悪いは別にして、まずこれをしなければ、今の日本の閉塞感に満ちた状況はなかなか打ち破ることはできないと思います。詳細は、是非私のブログをご覧になってください。
投稿: yutakarlson | 2008/12/08 11:08