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2008/12/30

My演芸大賞2008

Shinosuke3年末吉例の「My演芸大賞」の発表です。
今年1年に観た演芸の中から、特に印象に残ったものを独断で選び顕彰します。
時節柄、表彰状と賞金は割愛しますので、悪しからず。

【大賞】
立川志の輔「中村仲蔵」 8月15日 国立劇場

【優秀賞】
柳家喬太郎「竹の水仙」 3月1日 国立演芸場
古今亭菊志ん「鼠穴」 12月21日 お江戸日本橋亭
柳家三三「蜆売り」 12月27日 よみうりH

【佳作】
柳家小満ん「浮世床」 8月25日 池袋演芸場
三遊亭円橘「雁風呂」 11月29日 国立演芸場
古今亭志ん輔「掛取万歳」 12月20日 ニッショーH
瀧川鯉昇「千早振る」 12月20日 ニッショーH

【特別賞】
立川談春「与話情浮名横櫛」 2~6月の5回 横浜にぎわい座

〔選評〕
今年のお盆ごろまでは不作が続き、このままでは該当作無しの年になるかと心配していましたが、終盤になって良い高座に当たるようになり、終わってみれば例年並みという結果になりました。
先ず大賞ですが、喬太郎とどちらにしようか迷いましたが、国立劇場での志の輔「中村仲蔵」を採りました。
理由は、志の輔の高座は小屋の規模に応じて観客に見せ方を変える演出の工夫がなされていることです。
落語の会場というのは、小は100名以下の規模から、300名、1000名、1500名規模、あるいは2000名を越える規模まで大きさは様々です。同じ演目を掛けるにしても、小ぢんまりとした会場と大劇場では、演出は変わります。
しかし古典落語なら崩してはいけない基本というものがあり、その兼ね合いを計るのが難しいところです。一歩間違うとケレン過多になり兼ねません。
志の輔の演出は、国立劇場の1500名の観客に満足して貰えるように、ビジュアルな趣向もこらして工夫されていました。この点が評価のポイントとなりました。

優秀賞の喬太郎の「竹の水仙」は登場人物の性格描写がしっかりとなされていて、それだから独特のクスグリやケレンも型を崩さないのです。それと、国立演芸場での喬太郎のトリには外れなしですよ。
菊志んの「鼠穴」は細部には欠点がありますが、何より骨格がしっかりとしていて、最後まで程の良い緊張感が保たれていた高座でした。二人会の相方の三三が、菊志んにとって苦手と思って選んだネタだったようですが、これから持ちネタの一つに数えれていくのではないでしょうか。
三三の「蜆売り」も登場人物の演じ分けが見事でした。もう一席の「双蝶々」と併せて一本というところです。

佳作の小満んと円橘は、円熟した芸に支えられた滋味溢れる高座でした。最近やたらハイテンションの芸人が多く、そうした中で貴重な存在です。
志ん輔の「掛取万歳」を選んだのは、近ごろは万歳を省略し「掛取」で演じるのが普通になってきました。
ここでいう「万歳」とは三河万歳のことで、かつては東京でも正月に家々を回っては、お目出度いセリフを言って、ご祝儀を貰っていました。
だからこのネタは、散々借金取りを断る場面を繰り返しながら、最後は三河万歳で目出度く締めるいう意味がこめられているのです。本来は省略してはいけない。
志ん輔の高座は珍しく最後の三河万歳の場面まできちんとやっていたこと、本職の囃子方をゲストに迎えて賑々しく演じたことが評価されます。
瀧川鯉昇の高座は、いつも客席をふんわりと暖かくしてくれます。「千早振る」での和歌を空中で字を描いて、「ここだよ」という場面が秀逸でした。

特別賞は文句無く談春の「与話情浮名横櫛」の連続公演です。5回の公演で未だ半分程度と思われ、通しで最後までとなると、もう1年掛かるのでしょう。
ただ横浜にぎわい座での談春の独演会は、チケット入手が極めて難しく、実際に全てを聴けた方は少ないと思われます。
この演目は、以前に先代馬生の公演がありますが、全編通しでの公演は、近年では例が無いでしょう。
人気に溺れることなく新たな課題に挑戦する談春の姿勢は、それこそ談志の言う「了見が良い」のであり、高く評価されます。

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