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2008/12/10

「千葉女児殺害事件」記事の補足

千葉県東金市の当時5歳だった成田幸満(ゆきまろ)ちゃんが殺害された事件で、遺体を遺棄したとして逮捕され取調べを受けている勝木諒容疑者に関する報道について、一部どうしても腑に落ちない部分があるとした記事を書いたところ、予想を超える反響がありました。同じように感じられた方が多かったのだなと、改めて認識した次第です。
この中で、「過去の冤罪事件でも、知的障害者が犯人に仕立て上げられると言うケースがあり」と書きましたが、この点もう少し補足したいと思います。

今回、近所に住む知的障害者が逮捕されたという一報を聞いた時、一番最初に頭に浮かんだのが「島田事件」でした。それは昭和29年3月10日、静岡県島田市で当時6歳の少女が幼稚園から何者かによって連れ出され、13日になって大井川沿いの雑木林で絞殺されているのが発見された事件です。
2ヵ月後に島田市出身で知的障害者の赤堀政夫さん(当時25歳)が逮捕されました。実は少女を連れ去った男については複数の目撃者がいて、モンタージュも作られていたのですが、それと赤堀さんとは似ても似つかなかったため当日釈放されました。
しかし放浪癖があり窃盗罪で捕まったことのある赤堀さんは、「馬鹿で前科者」というレッテルが貼られていて、警察はあくまで赤堀さんを犯人と見做していました。結局、盗みの罪で別件逮捕されました。当初は否認していましたが、過酷な取調べの結果犯行を自供し、赤堀さんは殺人罪で起訴されました。
証拠は唯一、少女の胸を殴打し死に至らしめたという拳大の石だけでした。

公判に入ってから赤堀さんは一貫して否認しましが、1、2審とも死刑判決が出され、昭和30年最高裁で上告が棄却され、死刑が確定しました。
数度の再審請求の結果、昭和61年になってようやく再審が開始され、平成元年無罪判決がだされ無罪が確定します。
実に34年の月日を要したこの事件、確定死刑囚が無罪となった戦後4例目になりました。
それだけ再審で無罪になるのは難しいことなのです。
決め手は再鑑定で、凶器が石ではないとされたことで、唯一の物証が否定されたものです。

これとは別に、昭和54年9月11日、千葉県野田市で当時7歳になる小学校1年の少女が殺害される事件が起きています。
この時も近所に住む知的障害者Aが逮捕され、やはり当初は否認していましたが、その後自供し殺人罪で起訴、裁判が行われました。
この事件は「野田事件」と呼ばれています。

精神鑑定の結果では、Aは「知的年齢は4歳から6歳程度の重傷痴愚」と診断されましたが、訴訟能力について「ないとは言えない」として結論保留のまま起訴されています。
物証と言えるのは唯一、被害者が持っていた赤いバッグのネーム部分が切り取られていて、その断片と思われるものがAの定期入れから見つかったということです。
この事件でも公判で被告は否認しましたが、1、2審で懲役12年の判決が出され、1993年には最高裁で上告棄却され刑が確定、服役して後に出所しています。
Aは現在無罪を主張し、再審請求を行っています。

この二つの事件には次のような共通性があると見られ、今回の勝木容疑者の取調べで同様のことが起きる可能性を懸念したものです。
一つには、こうした少女殺害事件は性的事件と見做され→変質者の犯行と推測され→近くの挙動不審者が疑われ→知的障害者に容疑がかけられる、というストーリーが存在します。
世間も近所に変な人がいると、ついついアイツが怪しいということになり、それが又捜査にも影響するわけです。
これにマスコミが輪をかけて大量の情報を流し、アイツが犯人に決まっている世論が形成されて行きます。
次に物証に乏しいという点です。確たる証拠がなく、その乏しい証拠が実際の犯行と矛盾しているとなると、後は自供に頼らざるを得なくなります。
三つ目には、その自供が曖昧だったり証拠と矛盾すると、知的障害者だから仕方が無いと判断されてしまうことです。その一方、厳しい尋問に同調し易いという特質が逆に利用されたりもします。

私自身も娘を育て、今また幸満(ゆきまろ)ちゃんと同じ年の孫娘の面倒を見ており、この事件は決して他人事ではありません。ご家族のことを思うと胸が詰まる思いです。
それだけに早期解決を願うと同時に、ズサンな見込み捜査で真犯人を取り逃がすことの無いよう願っています。

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コメント

ニュースで見るけど加害者の弁護士の登場が早いなあ。

「水戸黄門」のように悪代官を懲らしめてから出て欲しい。

殺人犯人は無差別に懲らしめてね

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