フォト
2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
無料ブログはココログ

« 「千葉幼児殺害事件」残された疑問 | トップページ | 三人集~市馬・談春・三三~夜の部 »

2008/12/28

三人集~市馬・談春・三三~昼の部

正月は寄席だというのが一般的だが、歳末の寄席もまた良い。「掛取り」だの「芝浜」だのといった、年末にちなんだ噺を聴けるのもこの時期だ。
今を時めく人気者が顔を揃えた「三人集~市馬・談春・三三~」は、12月27日よみうりホールで開催。満員の観客が1100席を埋めていた。
この会は昨年第1回が行われ、今回が2回目となる。前回と異なるのはゲスト無しで、文字通り三人の会となったことだ。
同じ顔ぶれでの昼夜公演だが、ネタを変えるので私のように昼夜通して観た方も多いだろう。
先ずは昼の部。
・「口上」
三三の司会で始まったが、いきなり今年の三三の睾丸炎の話題で盛り上がり。今年3日間通しの独演会を2回行ったことを報告。談春は先輩後輩に挟まれるこの会は、自分にとりとても励みになると謙虚な姿勢。市馬はネタ下ろしになる今日の一席の出来を盛んに気にしていた。

・立川談春「明烏」
このネタ、実は主人公は源兵衛と太助の二人で、二人の描写の良し悪しで出来が決まる。談春はこの二人を活き活きと描き、特に二人の演じ分けが成功していた。こういう町内の札付きみたいな役どころを演じると、談春は本当に上手い。
反面、若旦那の時次郎がどうもいけない。どうやっても初心な若旦那に見えないのだ。どこか無理がある。
新内の「明烏」の浦里・時次郎の馴れ初めを落語にしたもので、「粋」でなくてはいけない。その点、談春の演出は泥臭さが強く感じられた。

・柳亭市馬「三十石」
二人からのリクエストでネタ下ろしとのこと。形は六代目三遊亭円生の形をそのまま継いでいた。
市馬らしい丁寧な演出で、終盤の三十石の舟歌では得意のノドを気持ち良さそうに披露して楽しませてくれた。ただ全体に固さが見られ、余裕が無かった。そのため、このネタの大らかさが感じられなかったのは今後の課題だろう。
後、舟歌を歌う時の太鼓と裏方の掛け声がひどい。次回の高座にかけるときは、もっと練習が必要だ。

~仲入り~
・立川談春「権助魚」
後半では、実際には三三のネタの間に挟まれて談春が一席伺っているが、順序を変えて。
談春の「膝」というのは極めて珍しいのでなかろうか。軽めのネタでこれも談春としては珍しい「権助魚」だったが、とても楽しかった。欲張りで間抜けな権助の描写が良く出来ていた。この人は実に器用だ。

・柳家三三「双蝶々(上・下)」
口上で談春が言っていたように、今回の三人集は三三が主役である。
昼、夜共に人情噺の大ネタを、それもネタ下ろしで高座に掛けるという大役だ。三三がここの所の進境著しいことを物語ると同時に、本人の自信の程を窺わせてくれる。
物語は、八百屋の長兵衛の倅・長吉は名うての悪ガキで、父親に嘘をついて義母のお光を陥れる。やがて長吉の日頃の行状を聞かされ、長吉を下谷の黒米問屋山崎屋に奉公に出す。
しばらくは真面目に働いていた長吉だったが次第に悪事に手を染めるようになり、やがて店の番頭権九郎を殺害して逐電する。そのことを苦に、長兵衛とお光夫婦は裏長屋住まい、食うにも困る生活からお光は物乞いとなって人さまの袖にすがる身分になってしまうが、それが縁で息子の長吉に再会することになるが・・・。
「下」は通称「雪の子別れ」と呼ばれる。
良い出来だった。ネタ下しとは思えない完成度の高さで、緊張感のある高座だった。酒飲みの父、ワルの倅、献身的な義母、もう一人のワル権九郎、それぞれの性格描写もしっかりと演じ分けていた。
お光は哀れな中に色気があり、この人は女形も上手い。
今年の三三の進歩を如実に示す高座となった。

「夜の部」は次回に。

« 「千葉幼児殺害事件」残された疑問 | トップページ | 三人集~市馬・談春・三三~夜の部 »

寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
今年になってから落語ファンになった
(もっとも子供のころから好きでしたが、
本格的には、という意味です)もんです。

この3人の組み合わせ、本当に豪華ですね。

三三さんはすっとした姿、さっぱりした顔立ちで今後ますます人気が出ると思います。

市馬師匠。
今、油が乗っていますね。(秋刀魚みたいな言い草ですが)
今月、浅草演芸ホールで「かけとり」を聴きました。
呼び出しの声などが見事で、盛んに拍手を浴びていました。

「三十石」はネタ下ろしで固かったようですね。

福さま
コメント有難うございます。
三三の良いところは、先ず様子がいいことがあげられます。容姿はもちろん、立ち振る舞いが綺麗なのです。これは芸人として大切なことです。すっかり人気落語家の仲間入りを果たしましたが、決して人気に溺れることなく芸域を着実に広げています。次代の落語界を背負っていく様になると、期待しています。
市馬は来年30周年だそうで、一番力が発揮できる年齢です。「掛取り」は夜の部でタップリ聴かせてくれました。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 三人集~市馬・談春・三三~昼の部:

» 情熱大陸:立川談春 [学生利酒師 ~日本酒を身近に~]
今日の情熱大陸は立川談春さん。赤めだか/立川 談春落語が身近になったのは「ちりとてちん」の影響もあって、自分もなんだか親しみやすくなりました。先日も、ちりとてちん落語がNHKで再放送されていたので、見ながら思わずチビチビと日本酒をいただいていました!ちりとてちん... [続きを読む]

« 「千葉幼児殺害事件」残された疑問 | トップページ | 三人集~市馬・談春・三三~夜の部 »