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2009/01/28

いっそ「社会主義」に戻りますか?

いわゆる「派遣切り」にあった人々に対して、周囲の年配者は概して冷たい目でみている。日本が「社会主義」だった時代に育ったので、「職に就かない=怠け者」という公式から抜けきらないのだ。
日本がかつて「世界で最も成功した社会主義国」と称された時代があった。「20世紀に唯一成功した共産主義」とも。

俗説であり、比喩的な表現であるのはもちろんだが、同じ資本主義国でも米国型や欧州型とも異なった独特の社会を形成したという一面を指している。
最大の特長は、格差の小さな社会であったということだ。年金や健康保険など社会保険制度を制定し、不十分ながら全ての国民に最低の生活が保障される仕組みを作った。税制では高度累進課税による所得の再分配により、所得格差を小さくして、大多数の国民がほぼ同じような生活レベルを送れるような社会を作り上げた。
いわゆる「総中流社会」である。
おそらく国際的な比較データは存在しないだろうが、日本は世界で最も均質な社会だったと思われる。

その時代に社会が共有したイデオロギーは、「働かざる者食うべからず」だっと思う。一生懸命に働く、勤勉であるということが社会規範であり、それが個々の人々への評価でもあった。
働いてさえいれば何とか生活はできる、「稼ぎに追いつく貧乏は無し」である。
事故や病気や災害は別にして、働かない者、怠け者は食べていけないのは当然という社会でもあった。その意味では、自己責任が求められた時代とも言える。
もっとも、戦後の復興期から高度成長に向かう時代に育った人間としては、学業を終えれば(家が貧しく進学できない人も少なくなかったが)仕事に就いて、自分や家族の生活のために必死で働くということが要求されていたという事情もあったので、疑問に感じる暇も無かったわけだ。

「勤勉」が人間の評価であれば、所得格差も自ずと小さくなる。社員と社長の給料の倍率も、正確な数字は覚えていないが、確か数倍だったと記憶している。
会社は株主のものでなく、従業員のものだった。何故なら、働いて企業を維持しているのは従業員だからだ。そして従業員で一番偉い人が経営者、当時はそんな認識だった。
企業が擬似家族となり、日本型労使協調制度ができた。
社員の勤勉により支えられた企業は、「終身雇用」制度によってこれに応えた。悪いことをせず真面目に仕事をしてくれれば、定年まで面倒みるという制度だ。最初に就職した会社で定年を迎える人が多かった。
「年令給」だったのも、こうしたシステムだったからだ。従業員の働きで企業が存続しているなら、仕事量の積分値である勤続や年令に従って給料が増えるのは当然という考え方だ。

人員整理だの首切りだのというのは、よほどのことが無ければ経営者はやらなかった。「人」に手をつけるのは、経営者として最高の恥とされていたからだ。それより何より、景気が変動するたびに社員を解雇すれば、当時の社会秩序が保てなくなったからだ。「人は石垣、人は城」だったわけだ。

企業への過去の貢献度により待遇が決まるという時代から、今は将来の期待値により待遇が決まる時代に移ってしまった。従業員は会社からこれから先は必要ないと判断されると、簡単に企業を追われる時代になってしまった。
経営者は従業員より株主に顔を向けている。経営が悪化すると、先ず「人」に手をつける時代になった。
社員への評価も「勤勉」から「金儲け」へと尺度が変わった。悲しいかな、「金を儲ける」能力というのは個人差が大きい。所得格差の大きい、「格差社会」の到来である。
「中流」は崩れ、一部の高額所得者と多数の低額所得者に分かれつつある。
かくて、日本型「社会主義」は崩壊の一途をたどる。

小泉純一郎が首相として登場したとき、「痛みを伴う改革」を標榜して、多くの国民の支持を得た。
おそらく大多数の人々は、まさかその「痛み」が自分たちに向かうとは思っていなかったに違いない。痛みは専ら「いい思いをしている者」が被ると信じて、喝采を送ったのだろう。
しかし痛みは、あなたに向かってしまった。
小泉元首相が嘘をついたわけではない。あなたが勝手に思い込んだのだ。
かくして小泉「改革路線」により、日本の「社会主義」は息の根が止められたかに見える。

さて、あなたは今の時代の方が良いですか?
それとも、かつての「社会主義」に戻りたいですか?
元に戻れるかどうかは、また問題は別だが。

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