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2009/02/15

鈴本演芸場中席夜の部(2/14)

時ならぬ初夏の陽気、土曜の鈴本夜席は一杯の入り。
膝前は日替わりの交互出演で、この日は柳家花緑だった。開演前に並んでいたら、後ろの二人連れが「花緑か、他の人が良かったのに」と嘆いていた。その一方、座席の後方二人連れは、お目当ての花緑が下がると、トリを待たず帰ってしまった。こういうところが独演会ではあり得ない、寄席の面白い点だ。

前座は春風亭朝呂久「桃太郎」だが、お爺さんが川に洗濯に行っちゃあいけない。素人演芸会じゃないんだから、お粗末の一言。
・宝井琴調「木村長門守重成 堪忍袋」
講釈師が一番やってはいけないのが、カムことだ。リズムが崩れて聴いていられなくなる。
・柳亭市楽「転失気」
久々だったが、喋りがすっかり落語家らしくなった。芸風が明るく嫌みがないのが良い。
・翁家和楽「太神楽」
・橘家文左衛門「寄合酒」
体育界系の「寄合酒」。近ごろ上品な噺家が多くなった中で、こういう乱暴な芸風が貴重になってきた。
やっぱり文左衛門は、上野鈴本より池袋演芸場が似合う。
・昭和のいる・こいる「漫才」
・柳家さん喬「天狗裁き」
こういう短い時間でも、オチまでキッチリ演じるところがいかにもさん喬らしい。
・古今亭志ん五「蜘蛛駕籠」
志ん五のとぼけた味が生きたネタだった。
時間の関係からか、登場人物が2,3人カットされていて、その分薄味。

~仲入り~
・ペペ桜井「ギター漫談」
偉大なるマンネリ。
・柳家花緑「長短」
花緑は高座に上がってからネタを決めることが多く、この日もさんざん迷った挙句に「長短」。
師匠・先代小さんが言っているが、このネタの一番の注意点は、気長の男のセリフをできるだけユックリと喋ることであり、時間に急かれるときはこのネタは避けた方が良いのだそうだ。
花緑は迷った分だけ時間が詰まり、先を急いだ高座になってしまったのが惜しまれる。
・ダーク広和「奇術」
ハッタリの少ない手品師。もう少し堂々と演じた方がウケるのでは。
・柳亭市馬「厩火事」
このネタ、年上のキャリアウーマンが生活力のない若い男と暮らし、不満を持ちながら別れられない女の「性」をモチーフにした、現代にも通じる普遍的なテーマを内包している。
仲人に別れろと言われたおさきが、「旦那はそうおっしゃいますけど、ねえ、・・・・」の場面で、おさきの女の「性」がどれだけ出せるかで、出来が決まる。
市馬の高座は、兄弟子・柳家小三治をなぞった演出だが、先の部分が物足らない。
それからもう一つ、このネタは名人文楽が十八番にしていたが、口演時間は20分だった。市馬もそうだが、最近の噺家は30分近くかけるケースが多い。
時間が長くなった分テンポが悪くなり、ややダレ気味になると感じるのだが、どうだろうか。

落語が6席だけというのは、いささか物足りない。
演目のバランスを一考して欲しいところだ。

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コメント

「厩火事」演じたのは大好きな市馬師匠なら尚更聴きたかったと思います。元はといえば黒門町の十八番なんですね。私は志ん生のCDでこの噺が好きになりました。見込みのない亭主とどうして長いこといるのかと尋ねられたおかみさんの放つ「だって寒いんだもん」には笑いました。
また、町人から見た武家批判も少しばかり込められていると思います。

投稿: 福 | 2009/02/16 20:51

福さま
コメント有難うございます。
「厩火事」は、黒門町生前の間は他の噺家が高座にかけるのを遠慮していたネタです。文楽はとても艶っぽい人で、分かれたくとも別れられない、切ない女の気持ちがよく表現されていました。
最近の落語家は語りは上手ですが、文楽や志ん生の時代に比べ、どうしても色気に欠けます。真面目過ぎるんですね。
時節柄、女性修行が足らないというのは致し方ないのでしょう。

投稿: home-9(ほめく) | 2009/02/17 10:23

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