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2009/02/12

「金賢姫と面会」は疑問だ

北朝鮮の元工作員・金賢姫元死刑囚と、拉致被害者・田口八重子さんの家族との面会について、韓国の柳明桓外交通商相が実現を示唆したことに対し、田口さんの兄・飯塚繁雄さんは「前からお願いしてきたことが具体的な話となり、うれしく思っている」、「まず、(田口さんと)一緒に過ごした間の様子を(金元死刑囚に)聞きたい。そのうえで信頼関係を築き、継続して会えるようにしたい」と述べた。また面会には長男・飯塚耕一郎さんも同行させたい意向を示している。
この件ではメディアも歓迎ムード一色のようだが、果たしてそれで良いのだろうか。

先ず金賢姫(キム・ヒョンヒ)元北朝鮮工作員とはどういう人物なのか振り返ってみたい。
1987年11月29日、大韓航空858便・ボーイング707型機が、北朝鮮の工作員によって飛行中に爆破された航空テロ事件が起きた。いわゆる大韓航空機爆破事件である。この事件で、乗客・乗員合わせて115人全員が死亡するという、当時としては史上最悪のテロ事件だった。
金賢姫はこの凶悪事件の実行犯である。
韓国に移送され裁判を受け、1989年に死刑が確定した。当然である。当時の韓国の政治体制からすれば即刻処刑されると見られていた。
しかし韓国政府は理由を明らかにしないまま、特赦により金賢姫を解放してしまう。この処置に対して、事件の遺族たちからは激しい抗議が行われたことを鮮明に記憶している。

金賢姫は韓国の情報機関の監視下におかれたとはいえ、メディアへの露出、はては自伝の出版まで許されるなど破格の待遇を受けてきた。
そのためか、彼女が凶悪犯であるという事実が次第に薄れ、まるで悲劇のヒロインのように扱われるようになった。映像から見る限りでは、私にはこの女のしたたかさしか感じられない。あまりにアッケラカンとしている態度からどこまで罪の意識を自覚しているのかと、金賢姫という人物の人間性を疑ってしまうのである。
こうして悲劇のヒロインを演じてくれていた方が、韓国政府としても好都合なのだろう。
しかし大韓航空機爆破事件は、ラングーン事件や日本人拉致事件などと並ぶ北朝鮮による国家犯罪であり、金賢姫はその実行犯であったことを忘れてはなるまい。

金元工作員は国家の命令により犯罪を行っただけという弁護論があるが、これはおかしい。
国家の命令であれば免罪されるなら、日本人を拉致した実行犯だって罪が問われないのだろうか。9・11テロの犯人も、アルカイダの指示に従っただけなら無罪なのだろうか。
まさか、美人に悪人はいないと信じているわけでもあるまい。

大韓航空機爆破事件は、日本にとっても無関係な事件ではなかった。金賢姫ら実行犯が日本人パスポートを所持していたことから、当初日本人が係わったのではという疑いが持たれた。事実、バーレーンで拘束された金賢姫は日本語を使って、日本人のフリをしたのである。
彼女たちは日本人名義の偽造パスポートを持っており、日本国内法の「旅券法違反ないし偽造公文書行使」に該当する。従って本来は、日本政府が金元工作員の身柄引き渡しを要求できた。
金賢姫は、我が国からしても犯罪人だという事実は頭に入れておく必要がある。

拉致被害者の家族が、被害者の状況を知るために金賢姫に面会したいという気持ちは、情においては理解できる。しかし、横田さんご夫妻がめぐみさんの娘との面会を拒否したように、時には情を捨てねばならないこともある。
拉致事件という北朝鮮の国家犯罪の被害者家族が、その国家犯罪の実行犯に面会するというのは、大いに疑問がある。
まして大韓航空機爆破事件の遺族の心情を慮るなら、喜んで面会に行くのはいかがなものだろうか。
釈然としない気分が残る。

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