石原慎太郎の「転向」
2月3日に、2016年夏季五輪開催を目指す東京の招致委員会が立候補ファイルを公表しましたが、ここで招致委会長の石原慎太郎知事が次のように述べています。
「日本は戦後60年、いかなる紛争にも直接巻き込まれずにきた。胸を張って五輪で世界に平和を呼び掛けることができる」。
またIOCに提出した五輪立候補ファイルの中に、石原知事からロゲ会長にあてた次の書簡があります。
「私の祖国日本は、第二次世界大戦の後、自ら招いた戦争の反省のもと、戦争放棄をうたった憲法を採択し、世界の中で唯一、今日までいかなる大きな惨禍にまきこまれることなく過ごしてきました。」
オリンピックの開催にあたり世界平和をかかげるのは結構なことですし、これらの石原都知事の発言に異論はありません。
それにしても憲法敵視、戦争大好きの慎太郎さん、急にどうしちゃったんでしょうね。
ここで過去の石原慎太郎の憲法に関する発言を見てみましょう。
「北朝鮮のミサイルが日本に当たれば、長い目で見て良いことだろうと思った。日本は外界から刺激を受けない限り、目覚めない国だからだ。特に北朝鮮のミサイルが核、生物弾頭を搭載するとなれば、日本がいかに無防備か理解するだろう」
(米紙ロサンゼルス・タイムズ2001年3月12日に掲載されたダボスでのインタビュー)
『石原慎太郎東京都知事は、「日本の兵士が死亡するのを見れば国民は怒り、結束し、政府を支持するだろう」と言明し、イラクに派遣されている自衛隊員が死傷すれば、国民は政府の下に結集し、憲法改正の動きが進展するとの考えを示した。』
(英紙フィナンシャル・タイムズ 2004年3月3日付の報道より)
「平和憲法は見直しではなく、廃棄すればいい。歴史的正当性があると思うかどうか、国会議員全員にアンケートをとってみればいいんだ」
(2004年3月8日、都議会の一般質問終了後、報道陣に対して)
こうして憲法を改正するためには、北朝鮮のミサイルが日本に命中することや、イラクで自衛隊員が戦死することを待ち望んでいた石原知事。
今回の五輪招致にかかわる一連の発言とのギャップをどう説明するのでしょう。
石原知事の東京五輪招致は、新銀行東京の乱脈経営の責任を逃れるため、いわば都民への目くらましとして打ち出したものです。
与党議員が融資先を紹介し、その謝礼として献金を受ける。しばらくすると融資を受けた法人は倒産し、資金は消えてなくなり回収が不能になる。
こうして気がつけば1000億円以上の都民の財産が食いつぶされた、これが石原銀行の構図です。今後、刑事告発される可能性も出てくるでしょう。
もし五輪招致に失敗したら、今までの石原都政への批判が強まることは明らかで、いわば晩年の政治生命を賭けてのぞんでいるわけです。
この辺りが、石原知事が自説を曲げ、俄か平和主義者へ「転向」した理由ではないでしょうか。
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