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2009/02/21

これぞエンターテイメント「帰ってきた浅草パラダイス」

2月20日は新橋演舞場での公演「帰ってきた浅草パラダイス」に出向く。サブタイトルに「久世光彦4回忌追悼」とあるが、この芝居の演出家だった久世さん、亡くなってもうそんなになるのか。
このシリーズ、過去の公演は次のようになっている。
1997年 「浅草慕情~なつかしのパラダイス」
1998年 「浅草パラダイス」
2000年 「ご存知浅草パラダイス」
2001年 「さらば浅草パラダイス」
従って今回が5作目になり、前回で「さらば」したので、今回のタイトルが「帰ってきた」となったわけだ。

【主なスタッフ キャスト】
原作=金子成人
演出=久世光彦
潤色・演出=ラサール石井

柄本 明=卯之助の友人・中原源吉
小島 秀哉=大山辰五郎(興行師)
中村 勘三郎=池島卯之助
藤山 直美=その妻・勝
美波 =沼沢八重
青柳 喜伊子=勝の隣人・みね
井之上 隆志=久三他5役
今井 りか=川田まつ子
坂本 あきら=相良炉風(弁士)
田根 楽子=神崎あやめ(座長)

時は昭和初期の浅草、トーキー映画の出現で娯楽の中心が芝居から映画に移り変わろうとしている時期だった。
しっかり者で元女義太夫語りだった勝と、そのぐうたら亭主で売れない芸人卯之助、友人でやはり売れない楽士源吉の3人を軸に、夢や希望、あるいは金を求めて集まる群像を描いた喜劇だ。
中村勘三郎と藤山直美が夫婦とくれば、おおよそどんな内容の芝居になるかは見当が付くというもの。お約束の展開で最後はメデタシメデタシとなるわけだ。笑わせて泣かせて泪が出るほど笑わせる、そういう芝居である。
原作者の金子成人がたぶん寄席の世界に通じているのだろう、落語の世界をそっくり昭和初期の浅草に置き換えているようだ。
決してストーリーで見せる芝居ではない。役者の演技力とアンサンブルで見せる芝居だ。

主役の3人を含めて、演技陣が充実している。
先ずは妻・勝を演じる藤山直美の演技に圧倒される。上手いのは言うまでもないが、この人は踊りが達者なので動きが綺麗なのだ。動作の、セリフの一つ一つに溜め息が出る。
彼女の存在感が強すぎて、芝居全体がまるで松竹新喜劇を観ているような気分になった。恐るべし、藤山直美はあらゆる物を飲み込むブラックホールである。
売れない芸人を演ずる中村勘三郎と柄本明のコンビは絶妙、この役は二人以外は想像もつかないハマリ役だ。
勘三郎はさすが歌舞伎役者だ。踊りは上手いし所作が美しい。もしかして「地」では思わせるほどの軽妙な演技で唸らせる。ただ風邪気味だったのだろうか、声があまり出ていなかった。
柄本明はそこにいるだけでホンワカしてくるような独特の個性がある。緊張感をふっと抜かすような絶妙な間の演技に感心した。

興行師役の小島秀哉は風格をみせ、弁士を演じた坂本あきらが軽妙な芝居を演じ、隣人のみね役の青柳喜伊子が良い味を出していた。
沼沢八重役の美波は可憐だがセリフに硬さを感じた。川田まつ子役の今井りかのセリフ回しが全体の雰囲気にマッチしていた。
脇役では、まつ子の恋人役を演じた有薗芳記の熱演が光る。

幕間や場面転換の時のつなぎに出演者のコントが演じられたが、アドリブもありサービス満点。
「ジャンプと着地」という演出家のラサール石井の目標は、十分達せられたと思う。

「帰ってきた浅草パラダイス」は、原作・演出・出演者全ての力が集まった、確かな芸に裏づけられた第一級のエンターテイメントである。
本物の芸があって、はじめて本物の笑いが生まれる。このことを再認識させられた芝居だった。

公演は25日まで。

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コメント

昨日は長い間ご苦労様でした。
今朝はいささか二日酔い気味です。
件のサイトのアドレスです。

http://nikonfe.blog53.fc2.com/

柄本明さんは下北沢で何度か見かけましたが、下駄履きでそこらにいるごく普通の人でした。
この人が役者だとは、一見分からない感じの容貌でした。

nikonfe様
こちらこそお疲れ様でした。
ご案内のサイト、早速訪問します。
柄本明、確かに道で出会っても役者とは気が付かないでしょうね。
舞台で見ると声はよく通るし、身体は柔らかいし、やはりプロの役者です。

失礼しました。

下記のアドレスでした。

http://www.seotools.jp/001_seoanalyze/?url=http%3A%2F%2Fdorunkon.blog82.fc2.com%2F

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