« 歌曲の森第3篇「クリストフ・プレガルディエン」 | トップページ | 人物写真の愉しさと難しさ(改訂) »

2009/03/07

喬太郎の超レアもの「志らく・喬太郎二人会」

3月6日は「神楽坂落語まつり・神楽坂劇場二人会」の志らく・喬太郎二人会に出向く。牛込箪笥区民ホールという変った会場での公演で、もちろん一杯の入り。この催しは「神楽坂伝統芸能2009」の一環として行われたものだ。
志らくと喬太郎は同じ日大の同期生だが、志らくは中退して落語家になったのに対し、喬太郎は卒業後いったんサラリーマンになってから入門したので、今では志らくが先輩ということになる。

立川志らく「洒落小町」
志らくの新著「雨ン中の、らくだ」のPRをマクラに本題へ。
かつて三遊亭圓生が得意としていたが、あまり高座にかからない珍しいネタだ。
主人公の「ガチャ松さん」はこのネタにしか登場しない人物で、とにかくお喋りで話し出しら止まらない。お陰で亭主はしょっちゅう浮気(穴っぱいり)ばかり。そこで隠居が、亭主が家にいるときは洒落でも言って喜ばしてあげなとアドバイスするが・・・。
お松さんのダジャレを連発する場面で、志らくは随所に得意のクスグリを入れて大変面白く聞かせてくれた。こういうネタは、志らくは実に上手い。

柳家喬太郎「一人リレー落語(?)」
二人会というのは当然のことだが双方のフアンが来ている。志らくと喬太郎ではフアン層が異なり、客席からの反応が微妙に違うのだろう。客の反応に割合と神経質な喬太郎が、なかなかネタに入れない。
一度は「錦の袈裟」に入りかけ、それが「羽織の遊び」とゴチャマゼになり、それなら「寝床」にとなった所で立ち往生。
挙句は客からリクエストを求めることになった。沢山の声がかかり、そうした要望を取り入れて、次のような演出となった。
初天神―反対俥―粗忽長屋―黄金餅―らくだ―寝床、の「リレー落語」である。
リクエストに応えてその場で作ったものだが、これがなかなか面白かった。客は大受けで、喬太郎の才能を改めて感じさせる一席となった。
ただ、志らくフアンにはどう映っただろうか。

~仲入り~

柳家喬太郎「幇間腹」
近ごろの落語家の多くは、実物の幇間(たいこもち)を知らない。喬太郎ぐらいの年令だと、その師匠でさえ幇間を知らない世代になってしまう。仕方がないから見よう見まねで演じることになるのだが、どうもしっくり来ないのだ。
このネタの眼目は野ダイコの哀愁感が出せるかどうかだが、喬太郎の高座もここが足りない。それから茶屋の女将はもっと鉄火に描く必要がある。若旦那は良かったが、全体の仕上がりは不満が残った。

立川志らく「浜野矩随」
トリは人情噺になるのではと思っていたら、「浜野矩随」となった。
ご存知三遊亭圓楽の極め付けのネタで、なかなか他者の追随を許さない。ストーリーは湿っぽいので、圓楽のような大らかな芸風の人間がやらないと、ネタが生きてこない。
志らくの演出は適度にクスグリを入れて、暗くなり過ぎないように工夫されていて、面白く聴かせてくれた。
ただ若狭屋の旦那に風格が足りない。そのためか、今ひとつ聴いていて感情移入ができないのだ。

喬太郎の一席目は超レアもので、この日ライブで観た人は幸せである。

|

« 歌曲の森第3篇「クリストフ・プレガルディエン」 | トップページ | 人物写真の愉しさと難しさ(改訂) »

寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

 こんにちは
はじめまして。いつも読ませていただいてます。

 志らくファンですが、喬太郎ファンでもあるのでとても面白かったですよ。二人が一緒に出ることで化学変化が起こる予感が楽しかったです。

誰かのファンだと誰かのことは気に入らないってのは、そんなに無いと思うんです。とりあえず私は下手な人は立川流であろうと嫌いですし、この人は上手い!と見込んだら円楽党でもかまいません。

浜野で志らくが言いたかったことは、なぜ母親は死ななければならなかったかということで、若狭屋にことさらの風格は彼にとっては必要ないんだと思います。がんばれこぶ平!!

生意気書いてすみませんでした。

投稿: 志らくファン | 2009/03/08 02:17

志らくフアン様
コメント有難うございます。
落語はライブなので、客席の反応は芸人に影響します。志らくは割とマイペースでいくタイプですが、喬太郎はマクラから本題に入る瞬間の客席の反応に敏感です。今回もどこかシックリと行かなかったのでしょう。でもそこを立て直すのは、さすがですね。
帰りしな後ろから来る女性の二人連れが、「どうもあの人、好きになれないのよね。」と話していました。フアンにも色々な方がいるんだなと思いました。
欲をいえば、開演前に二人の対談が聞きたかった。どんな芸談になるか、きっと楽しかったでしょうね。

投稿: home-9(ほめく) | 2009/03/08 10:30

本日(個人的にずれた休日)、上野「鈴本」で喬太郎を聴いて参りました。
「時そば」が始まったとき、聴き飽きた演目なのでややがっかり。ところが、話が進むにつれて面白くなっていき、場内は爆笑の渦に包まれました。蕎麦の残りの汁を啜りあげるところではしきりに感心する声が上がりました。
不思議なのは「キッチン南海」程度しか新しいクスグリを入れないのに、マンネリを感じさせないこと。お話のリレー落語なんて、よほどの才知がなくてはできないでしょうね。

他 菊六「元犬」菊之丞「湯屋番」馬風「時事漫談」文楽「看板のピン」扇遊「手紙無筆」菊丸「明烏」など。

投稿: 福 | 2009/03/09 20:59

福さま
コメント有難うございます。
鈴本もなかなか面白そうな顔づけでしたね。
以前、喬太郎の独演会で前座噺特集を二回に分けてやりましたが、これが実に面白かったのです。「金明竹」や「たらちね」も喬太郎の手にかかると生き返るのです。
こうした前座噺や短い噺を上手く聴かせるのが、本当に実力なんでしょうね。

投稿: home-9(ほめく) | 2009/03/10 09:33

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/82117/44268032

この記事へのトラックバック一覧です: 喬太郎の超レアもの「志らく・喬太郎二人会」:

« 歌曲の森第3篇「クリストフ・プレガルディエン」 | トップページ | 人物写真の愉しさと難しさ(改訂) »