歌曲の森第3篇「クリストフ・プレガルディエン」
3月5日は《歌曲(リート)の森~詩と音楽 Gedichte und Musik~》 第3篇「クリストフ・プレガルディエン」を観賞にトッパンホールへ。
1回目のマーク・パドモア、2回目のイアン・ボストリッジに続くシリーズ3回目で、これで完走となる。
生まれてはじめてドイツ・リートなるものに接し、魅力にとりつかれてしまった。歌唱はもちろん、ホールも客筋も良く、芳醇な時を過ごすことができたことを感謝している。
トッパンホールは音響が素晴らしいのだが、例えばエントランスにあるベンチにヒーターが入っているのはとても親切だ。こういう細かな心遣いが嬉しい。
《出演者》
クリストフ・プレガルディエン(テノール)
ミヒャエル・ゲース(ピアノ)
《プログラム》
今回の作品全てはハインリヒ・ハイネの詩によるもの。
【シューマン】
海辺の夕暮れ Op.45-3/憎悪し合う兄弟 Op.49-2/きみの顔 Op.127-2/きみの頬を寄せたまえ Op.142-2/二人の擲弾兵 Op.49-1/ぼくの愛はかがやき渡る Op.127-3/ぼくの馬車はゆっくりと行く Op.142-4
【シューベルト】
「白鳥の歌》 D957より」
漁夫の娘/海辺で/都会/影法師/彼女の絵姿/アトラス
~休憩~
【シューマン】
《詩人の恋》 Op.48 全曲
テノールのクリストフ・プレガルディエンは、前の二人と違って堂々たる体格の持ち主。同じテノールでも彼の場合はバリトンに近く、低音がよく響く。
声量はたっぷりだし、両手を前に突き出して朗々と歌い上げるスタイルは、リートというよりオペラのアリアを聴いているような気分になる。
ドラマチックな歌唱で、「二人の擲弾兵」や「都会」「影法師」のような曲は胸が打たれる。
反面、前の二人に比べドイツ・リートの叙情性にはやや欠けていた印象を受けた。これは選曲の問題かも知れないが。
ミヒャエル・ゲースのピアノは、クリストフ・プレガルディエンの歌唱に負けず劣らずドラマチックで、度々主役の座を奪っていた。歌手の伴奏というよりは、ピアノ演奏に合わせて歌手が歌う場面があった。
リートではピアノがとても大事なのだが、今回のコンサートはそのことをより強く印象付けられた。
今回のコンサートの主催者が本シリーズの目的を、「心渇く現在(いま)という時代にあって、心静かに満ちる時間をお客さまと共有できることを願っています」としていたが、その目標は十分達せられてと思う。
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