首相の「株屋は信用されていない」発言はその通り
誤読や不適切発言が多い麻生首相だが、たまにはマトモなことも言う。
21日の株価対策などをテーマとした有識者会合で、「やっぱり株屋は信用されていない」と発言したが、正にその通りだ。
わたしの若い頃は証券マンは「株屋」、新聞記者は「ブン屋」と呼ばれていた。その響きからある種のイカガワシサが感じ取れたものだ。呼び方は変っても、そのイカガワシサはいまも立派に残されている。
ノンバンクだの消費者金融などと改名しても、実体は高利貸しであるのと同じことである。
数字の根拠はハッキリしていないが、いま株式投資をしている人の9割は損をしているのだそうだ。
たまたま株価が低迷しているからというのが主な要因ではあるが、実は株価が上昇している時でも儲けている人は少ないらしい。
理屈の上では安いときに買い、高くなったら売れば利益は出るはずだ。現金に換えて持っていて、次の下げ場面を待って買えば、損はしないはずなのだ。
処がドッコイ、証券会社がそうはさせてくれない。換金すると直ちに他の銘柄や金融商品を勧めてくる。そうして気が付くと下げ相場になっていて、前に儲かった分は帳消しという結果になるのだ。
証券マンの手数料稼ぎのノルマは凄まじいものがある。とにかく客に売り買いさせて、回転で手数料を稼がねばならない。客が儲かるかどうかなどというのは、どうでも良いわけだ。
ひどい証券マンになると、素人の客に平気で信用取引を勧めてきたりする。
必ず上がりますからと、特定の銘柄を強く勧める時というのは決まって、
・証券会社の自己売買部門が予め仕込んだ銘柄の吊り上げ
・運用成績の悪い投資信託の組み入れ銘柄の吊り上げ
・ファイナンスを控えた銘柄の株価吊り上げ(特に幹事証券)
など、あくまで証券会社の都合で客に嵌めこもうとしてくるので、用心が肝心だ。
もっとも、そんなに儲かることが確実なら、証券マンが自分で買うだろうが。
いくら不祥事が繰り返され、その度に証券会社が批判を浴びてきても、この体質はサッパリ改まらない。
2年ほど前にある大手証券の人と話したら、個人で株式をやる人の大半はネット証券に移ってしまったと言っていた。
ネット証券なら営業に来ない、つまり何もしてくれない、これが一番なのだ。お客は良く分かっている。
証券会社が本当に心を入れ替え、顧客の利益のために営業活動をするようにならない限り、「貯蓄から投資へ」の流れは生まれてこないだろう。
証券会社の経営者は、顧客の信用を失っているという自覚から出発すべきだ。
首相の発言に対して関係者から困惑の声が上がっていたそうだが、先ずは我が身を省みることが先決ではなかろうか。
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» 株屋は怪しいよ、その通りじゃん(笑 [シュンジの撮影日記]
麻生首相、「株屋は信用されていない」=証券業界は困惑(時事ドットコム)
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株をやっていると、地方だと何となく怪しい(と思わ... [続きを読む]
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